696.2009年4月9日(木) 地球温暖化は国境を変える。

 近年の地球温暖化現象で世界的に万年雪や氷河が融雪して地肌が顕われている。カナダやスイスの氷河を訪れるたびに、後退していく姿を目の当たりにして現実を受け止めると同時に、些かショックを受けていた。昨日の朝日夕刊と「報道ステーション」によると、これまでスイスとイタリア国境は氷河の尖端部分だったために、イタリアとスイスの国境にある氷河が年々消滅して国境が変わってしまったという。幸か不幸か、周辺に住民がいないために差し当たって大きな問題は生じていないが、いずれ正式に国境策定を行わなければならないらしい。 

 このように2つに分断される国境線があるところでは、判断基準、確定線の維持、相互の思惑、お互いの利益関係等々で紛争が耐えない。かねてから河川を国境線にしている2つの国では一方で汚染すれば対岸の国が汚染される。或いは、上流の国で川を汚染すれば下流の国がその被害を蒙る。ひとつの国だけの都合だけでは万事が納まらなくなっている。かつて、ドナウ川の上流国だった東ヨーロッパが経済の停滞から公害を垂れ流し、下流にある西ヨーロッパ諸国が被害を蒙り苦しんでいた実例がある。

 今日NHK「ニュースウォッチ9」は、メコン川で鯰が獲れなくなったことをドキュメント風に報告していた。昔からの漁民は近年の不漁に頭を痛め、このまま不漁が続けば漁師を止めなければならないと深刻な表情で話していた。原因はメコンの遥か上流の中国におけるダム造成による汚れと水量の変化のようである。それが遥か下流で鯰がいなくなった原因である。

 日本の外交力の弱さは、歴史的に隣国と角突き合わせてバトルを行いながら、自国の権益確保のために折衝を行う機会が少なかったことが原因のひとつであろう。その意味では現在の日本は国境を接していないことから、国境紛争のようなトラブルがない。その要素がないことが、世界で外交力や政治力を発揮する点でむしろマイナスになっているのではないかと思う。

2009年4月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com