ワシントンで50ヶ国以上の首脳が出席して開かれていた核セキュリティ・サミットを終え、安倍首相は今日帰国した。具体的な成果は見えにくいが、ここでも中国の習近平国家主席が大国としてその存在を訴えるべく核テロの脅威に対して国際的な協力を積極的に推進していくと表明した。
同時に中国には、世界の電力需要を見込んで原発の海外進出戦略を進める狙いもある。サウジ・アラビアやアラブ首長国連邦、南アフリカなどへ安く安全性の高い原発施設を売り込もうと習主席自らこれらの国を訪れている。だが、中国内では原発施設の建設が始まってまだ時間が経っておらず、事故が起きた際のメルトダウンや放射性物質の大量漏出が起きる心配があると、世界の専門家は懸念している。
口だけで言っているうちはいいが、実際さほどの経験があるわけではなく、単に自国の立場を高く見せるためだったり、事故の心配を漏えいするようでは、まだ世界へ販売外交は控えるべきだと思う。
さて、核セキュリティ・サミットは終わったが、11日から広島で主要7ヶ国外相会合が開かれるのに合わせて、核保有国を含む7ヶ国外相が平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花することが決まった。各国外相は広島平和記念資料館も訪問する。今までアメリカの大統領と国務長官が訪れたことはなかったが、今回初めてケリー国務長官が訪問する。
来る5月に開かれるG7首脳会議(伊勢志摩サミット)に訪日するオバマ大統領も広島を訪れるよう、関係者の間で現在調整が行われている。残り任期が少なくなったオバマ大統領が、核なき世界を華々しくアピールし、ノーベル平和賞を受賞した就任当初に比べて、核撲滅へのメッセージが幾分輝きを失い、やり残したことが多いと言わている。その中で、核廃絶への姿勢を訴える点では、被爆地広島を訪れ、各国首脳とともに核兵器のない世界を目座すとのメッセージを発することはオバマ大統領にとってタイムリーであり、大統領の功績としてもプラスに左右すると思う。
原爆投下は戦争の早期終結のためには意味があったとして、原爆投下の正当性を主張する多くのアメリカ人の気持ちをどう核のない世界へ気持ちを向かわせるかということが求められているのではないか。