699.2009年4月12日(日) ASEAN会議お流れに

 昨日タイのパタヤで開催予定だったASEAN諸国会議が、会場内へデモ隊が乱入したために開催出来なくなり、麻生首相、中曽根外相を始め各国首脳はヘリコプターで避難する有様だった。タイのアピシッド首相はタイ主催のすべての会議の延期を発表し、周辺一帯を一時的に非常事態宣言した。

 デモはタクシン元首相派によるアピシッド首相退陣を求めるものだった。ASEANは延期となったばかりか、当分開催の見込みが立たない。というのは、昨年12月にチェンマイで開催予定だったものが、内政の混乱で今回のパタヤ開催が先月決まったばかりで、僅か4ヶ月の間にビッグな国際会議が2度までも延期され、会議開催能力が問われているからである。これで、タイ現政権の権威は完全に失墜したばかりか、現首相の統治能力にも疑問符が付いた。ASEAN加盟国10カ国と日中韓のトップが参加する国際会議も、予想もされていたデモでいとも簡単に中止に追い込まれた前代未聞の不祥事にアピシッド政権の国際的な信用は大きく下落した。

 元々血の気の多いタイ人であるが、これほど自国の信用を失わせるような失態は滅多にあるものではない。日中韓の3首脳は、北朝鮮のミサイル発射問題も話し合う予定だったが、個別会談に譲ることになった。

 ところでタイの首相がアピシッド氏であることは迂闊なことに初めて知った。06年9月に外遊中の軍事クーデターでタクシン氏が失脚したことは大きなニュースとなった。その後08年2月にサマック政権が発足。それからたった半年余りの9月にソムチャイ氏が首相に就任した。そして、問題のバンコックの2つの空港占拠事件があって政権は崩壊し、昨年12月にアピシッド氏が首相に就任していたことが分かった。

 日本の首相交代劇だってその頻繁さに関しては、タイに一歩もひけを取らない、在任短期間の首相「CHANGE」劇である。これでは首相の名前なぞ覚えている間もない。

 日本でもこの事件を他山の石として、くれぐれも国際会議ボイコットなんかやらないでもらいたい。尤も今の日本にはこれほど元気のある行動的な若者がどれほどいることか。その点では安心出来るのかも知れないとつい皮肉のひとつも言いたくなる。

 一方、国連安保理事会で、北朝鮮制裁を決議したいとの日本の要求は、安保常任理事国の間で意見がまとまらず、結局国連議長の北朝鮮非難声明に落ち着きそうな空気である。中ロも多少歩み寄ってきたが、どうも日本としてはすっきりしない。声明文では「ミサイル発射」とは明記せず、単なるロケット発射となってしまった。これでも北朝鮮にとっては不愉快極まりないようで、北朝鮮・国連代表は記者団から提示された文案を放り投げるほどカッカしている。どうも中国はこの剣幕に押されたのではないか。

 さて、今日の政治討論会を観ていると、15兆円にのぼる緊急経済対策を当然として、自慢げに語っている自民党代議士のノー天気ぶりには恐れ入る。彼らには今後この穴埋めをどうやって賄っていくのか、きちんと説明する責任がある。にも拘わらずその点にはまったく触れず仕舞いなのである。埋蔵金が15兆円以上隠されているようなことを平気で述べるのを聞いていると、しっかりしろと言ってやりたい。

 その中で与謝野財務相が、この後落ち着いたら当然消費税の値上げについて議論しなければならない(増税)と言ったことに、ある面で納得させられた。歳入より歳出が大幅に増えたので、今後その苦しみを国民が分担して背負わなければならないことは止むを得まい。そういう嫌なことは誰も語ろうとしない。

2009年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com