745.2009年5月28日(木) ついにGM社も経営破綻か?

 すったもんだしていたGM社経営者側と債権者間の債務削減交渉が決裂し、アメリカ最大の自動車会社破産の公算が強まった。債権者のほとんどから同意が得られなかったことがその原因である。政府支援を受け入れて引き続き再建計画を検討していたが、最後になってついに行き詰ってしまった。虚虚実実の駆け引きの末に経営側と組合が妥協するかに見えたが、その交渉内容は労働者に有利で、債権者にとっては見返りが少なく不利と判断され、デッドロックに乗り上げてしまった。経営者は期限までにまとめるほどの余地はなく、連邦破産法を申請して経営破たんする可能性が高まった。

 GMが行き詰まった3大原因は、①高待遇、②高燃費、③金融危機と言われているが、敢えて言えば、GMの従業員に対する高待遇が最後になって足を引っ張る原因になった。GMの高待遇は、他の企業に比べて抜群に良いとされている。工場従業員の中には親子代々GMに勤めるのが夢だと言っている労働者が多い。真面目に勤めると普通の企業従業員の給料の約2倍、アメリカ国内の日本企業の約1.5倍がもらえる。自動車産業が順調なら天国の生活を送れたはずだった。しかし、この従業員優遇が逆に会社再建の芽を摘むことになってしまった。

 クライスラー社がすでに破産宣告され、いままたアメリカ経済を引っ張ってきたトップ企業がいとも簡単に倒産の道へ向かうとはかつては考えられなかった。先日ドイツ証券副会長・武者陵司氏から伺ったアメリカの証券金融が形を変えて失敗したサンプルのひとつとも言えるのではないか。

 成績の優れない金融大手シティグループでは、日興コーディアル証券株式を三井住友FGへ売却したが、そのシティグループの経営執行委員会会長が株主総会で退任が報告された時、歓声が上がったそうである。その会長こそ誰あろう、クリントン政権の財務長官を務めたロバート・ルービン氏である。ルービン氏は10年間に亘りシティの拡大路線を引っ張ってサブ・プライム関連で9兆円近くの損失を計上する元凶となり、株主の大きな怒りを買った。

 日本はそれほどドラスチックではないが、北畑隆生・前経産相はアメリカ経済の仕組みと日本のそれとは根本的に違うと明言された。一方で現実派の武者氏は日本経済が今や地球帝国の一部であり、強い影響を受けると話されていた。どちらの見方が的を射ているかは分からないが、いやはや難しい問題である。

2009年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com