787.2009年7月9日(木) 大きい中国の存在感

 出席する直前になって国内事情でイタリアから帰国してしまった、中国最高権力者、故錦濤・国家主席抜きの会議のせいか、代理の中国代表が小粒のせいか、G8拡大会議は参加各国とも中国に遠慮せずにG8首脳会議のポイントが割合スムーズにまとまった。例えば、温室効果ガス排出量を先進国全体で2050年までに80%以上削減、核不拡散へ協調して包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に努力、北朝鮮の核実験、ミサイル発射非難、拉致問題を含む人道上の問題の懸念、等は仮に故錦濤・国家主席が出席したらここまで明記されることはなかったのではないか。温室ガスの80%削減なんか、こう簡単に決めて実行出来るのだろうかとの心配は残る。昨年の洞爺湖サミットでは確か同じ2050年までに目標が50%削減だったと思う。

 しかし、この合意事項が後になって中国が自国はその場にいなかったからと言って、その効力に異議を申し立てることになりはしまいか。一癖も二癖もある近年の中国の自己中心的圧力外交を考えると、どうもそんな気がしてならない。

 それにしても中国の存在感は今やアメリカに次ぐ。したたかな外交力により、ケース・バイ・ケースで先進国として振舞ったり、後進国の立場を主張したり、中々老獪である。今先進国が最も神経を尖らせているのは、排出ガス規制について、先進国が受け入れにくい後進国の条件を中国が発展途上国グループのリーダーとなって先進国へ突きつけていることである。

 だが、中国は国内に民族間対立、沿海部(都市)と内陸部(農村)の経済格差、個人的貧富の差、役人汚職、ほかの難問を山のように抱えている。これらの問題解決は今までクリアしてきた問題以上に難しいだろう。今年中に日本を抜いて国内総生産はアメリカに次いで世界第2位になるという。大きなお世話かも知れないが、まずは自分の頭のハエを追い払ってもらいたい。もう少し大国なら大国としての、権威、責任、矜持、倫理観を持ってもらいたいものである。

2009年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com