先日取材した野村正樹氏の原稿起こしをしているが、騒音が聞こえる忙しないロマンスカー内での会話のやりとりを正確に言葉として拾い上げることの難しさを思い知らされた。また、度々話題を変えたり、会話を途中で一時中止したこともあり、全体的な会話の流れという点でもまとめることは中々難しい。締め切りまで少し余裕を持ってもらっているが、正確性を期するために、改めて野村氏へ照会する必要があるかも知れない。
NHK・BS「ピラミッド発掘」でピラミッド建設方法について、建築家の視点から最近になって内部トンネル説を公表したフランス人建築家・ジャン・ピエール・ウーダン氏の説を紹介していた。何せ4700年前の話である。
ギザのピラミッドは、私自身世界文化遺産の中でも最も価値ある建造物であると考えている。最近の鎌倉と小金井の「世界遺産を訪ねて」講演でもギザのピラミッドを最も価値があり、最も好きな文化遺産として紹介した。今までは大きな石を外から傾斜路の上をロープで引き上げ、それを上で積み重ねていくものだとばかり理解していた。今日のTVはその常識を覆す新説である。TV画面を見ながら何となく納得したような気になったが、あれほど大きな石積みがウーダン説のようにそう上手くいくだろうか。しかもトンネル内をトロッコのようなものに60トンの石を乗せ、上から人力によって引き上げていた。公開しているピラミッドのトンネル内に2度ばかり入ったことがあるので、感覚的には理解出来るが、実際にこの内部を数多くの大きな石をトロッコで引き上げるには相当のエネルギーを要したことだろう。
6月にインタビューしたドイツ証券副会長・武者陵司氏から、古代エジプトのピラミッド建設目標とメリットを伺ったが、雇用の創出であり、拡大であると仰っていた。武者氏は現代でも雇用創出のために現代ピラミッドの建設の必要性を力説しておられた。このピラミッド解明プロジェクトでも、当時近くに労働者たちが集って住んでいたことをCGが写し出していた。
CGにより分かり易く説明してくれたので、理解し易く中々興味深い力作番組だった。フランスでは国民的話題を呼んでいるらしい。
ところで、ベトナム戦争中毎日のようにCBSキャスターとして、TVで独特な語り口と鋭い観察眼で個性的な存在感を示していたウォルター・クロンカイト氏が亡くなった。92歳だった。昨年亡くなられたTBSの筑紫哲也氏が、番組「ニュース23」の最後にいつも「では、今日はこんなところです」と言ってフェードアウトしていたが、これはクロンカイト氏の最後の言葉‘That’s the way it is.’の受け売りだったとはまったく気がつかなかった。