真夏だというのに今日は涼しく、全国的にも降雨、低温、洪水等の気象変化で各地にいろいろ支障を来たしている。今日は7月最後の日であるが、炎天とはまったく縁遠い。まもなく暑い終戦の日が巡ってくる。
来月6日、9日の原爆投下の日に合せてデスコト(ニカラグァ)国連総会議長が来日することになった。国際社会の大物が在職中に広島、長崎を訪れるのは、昨年のペロシ米下院議長に次いで2度目のことである。カトリック神父でもあるデスコト議長は広島に原爆投下した米軍機機長に対して「彼は良心を無視して、命令だけに従うように教え込まれていた。キリスト教社会を代表して、許しを請いたい」と述べた。原爆投下を行い、それを容認していたアメリカに対して、臆せず信念を述べるのは心からそう信じているからであろう。ひとつには、オバマ大統領のプラハ発言により、核廃絶への道が開かれ、大手を振って反核を唱えることができるムードが整ってきたことが大きい。ここで出来ることならオバマ大統領にもうひとつ踏み出して、大統領自身が広島、長崎に来て核廃絶のスピーチをすれば、どれだけ世界に対してアピールすることが出来るだろうか。テニアン島空港滑走路脇に建つ「原爆投下機ここより旅立つ」碑を思い出す。
デスコト議長は原爆投下を「人類の歴史における大変な悲劇」として「2度と繰り返さないためにも忘れてはならない」と強調している。実は、一昨日小中陽太郎さんからメールを送信してこられた。You tubeの画像を見て欲しいと教えてくれたものだ。核問題、気候温暖、エネルギーを研究している「憂慮する科学者同盟」という団体の上級アナリスト、グレゴリー・カラキー氏が、動画で日本国民に対してオバマ大統領の核政策の転換を応援するよう日本政府とアメリカ合衆国政府にアピールして欲しいというものだった。核廃絶運動に対する唯一の被爆国・日本政府の対応は、オバマ大統領の核政策の転換に懸念を示した。これは反対の国務省、国防総省内の一部の米議員を勢いづかせる。日本国民に対して日米両政府へオバマ大統領の核政策を支持するよう働きかけることを要望するものだった。
4月オバマ大統領の核廃絶へ向けた発言以来、漸く核廃絶が認知されたような曙光が見えてきたようだ。デスコト議長は「核不拡散を達成する唯一の道は、すべての核兵器をなくすことだ」と北朝鮮などの核開発も牽制している。こういう人格的にも優れた人物が、国際舞台で発言することの効果は大きい。
こういう核廃絶の動きがある一方で、6月28日に行われた日韓首脳会談の際、麻生首相が李明博大統領に対して「北朝鮮核問題が深刻化すれば、国内で武装すべきだという声が強まる」と述べていたことがばれてしまった。これはアメリカの日韓両国の「核の傘」を更に強化することにもつながりかねない。両首脳とも元々保守強硬派だけに、中国を意識した会話でもあろうが、相手が北朝鮮とあればいつもの軽口のくせで、つい強硬になったのだと分かる。しかし、時期が時期だけにちょっと問題を起こしそうだ。