総選挙の総決算はまだ済んだわけではないが、人事面では各党とも大体形ができつつあるようだ。民主党は幹事長に豪腕・小沢一郎を据えるようで小沢本人もその気でいる。官房長官候補としては、今まで影武者を務めていた平野博文に決まったようだ。自民党と同じく完敗だった公明党は、落選した太田昭宏委員長、北側一雄書記長が退き、委員長の後釜には山口那津男が就任するようだ。
問題は民主党がマニフェストに盛った公約を果たして実現出来るかどうかである。一般会計予算は頭に入っているが、国の正確な総予算が107兆円だということは不勉強で掴んでいなかったが、その予算の中で民主党が無駄を省くと言っている。この中から子ども手当てに9兆円をひねり出す。さらに新しい独自の政策費用をどう引き出すのか。さらに、来年度の概算要求を白紙に戻す方針であり、今年度の補正予算も見直すらしい。
その中で国土交通省は群馬県八ツ場ダムの本体工事の入札を延期すると発表した。民主党はこのダムの建設中止を主張していたので、その意向を受けて役所は、しばし民主党の出方を様子見している。延期するということと、中止とではまったく異なる。延期は宙ぶらりんの状態を意味する。工事業者にとっては金が入るのか、それとも金は入らないのかという不安定な経営をいつまでも続けることになる。一方、建設中止ということになると、これまでやってきた工事にかかった費用はまったく無駄になる。特に、建設反対派の人々が、説得に応じてやっと賛成へ回ったばかりという裏の事情もあるようだから、それを考えると、果たして中止出来るのかという現実問題がある。しかも、このダムの完成によって恩恵を受けるとされる関係地方自治体では、建設中止にした場合負担した経費に対する返還を要求することも考えている。早速石原慎太郎・東京都知事が返還を請求すると言い出した。さあ、民主党はこれからどういう手を打つのか。
論理的にも実践的にも民主党の現実的なお手並みを1日も早く拝見したいものである。