878.2009年10月8日(木) 台風18号日本列島を縦断

 南洋沖で発生した時から強大な台風と予想された18号は、予想通り暴風雨となり南大東島から北上して昨夜から今日にかけて日本各地に大きな被害をもたらした。午前5時に愛知県知多半島に上陸して青森県まであっという間に本州を縦断した。夜11時現在で死者2名、行方不明1名程度で納まっているが、風が強く竜巻となって、家屋の倒壊が頻発して、茨城県では家ごと吹き飛ばされたところがあった。とにかく午前中は風が強かった。交通機関にもかなり支障が出て、JRの如きはほぼ都内全線が影響を受け、運転中止と運転見合わせという状態だった。例によって私鉄が割合動いているのに、なぜJRばかり動かないのかという議論になっている。

 大学の公開講座を今年も受講しているが、春季講座は多摩大学と駒沢大学で受講した。秋は、引き続き駒沢大学を受講するほかに、多摩大学を止めて新しく多摩美術大学で6回に亘る美術の生涯学習講座を受けることにした。昨夕初めて多摩美大上野毛キャンパスで、「フランス『パリ』を歩く―永続的アート革命都市」と題して清水敏男・学習院女子大学教授がパワーポイントを使いながら、パリ市内の街角、ストリートと美術館を紹介してくれた。中々面白い趣向で、例えればグーグルのストリート・ビューと同じようなスタイルでパリ市内を紹介しながら、専門家の見方で講義してパリ市内のアートとアーチストの関わり具合を分かり易く説明してくれる。

 約30名の熱心な受講生は、男女取り混ぜいろいろな年代層に分かれているが、それぞれに美術に関心の深い人たちばかりで質問も的を射た、専門的なものだった。ほとんどの受講生がパリを訪れたことがあるようで、美術にも造詣が深く、知的レベルは相当高いとみた。ただ、7年間もパリに在住した講師が講義するだけに、細部に亘り街角を説明しても1~2回パリを訪れた程度では、シチュエーションをすんなりとは理解出来ないかも知れない。

 来週は別の講師がウィーンについて講義されるようだが、この様子なら今後期待が持てそうだ。

 さて、鳩山新政権で年金問題を切り札に役所へ乗り込んで行った、‘ミスター年金’長妻昭・厚生労働大臣が初めて「貧困率」という言葉を使い出した。

 経済協力開発機構(OECD)が貧困割合を示す指標として、所得の高い順に並べた時に真ん中の人の所得を基準にして、その半分に満たない人が占める割合を「相対的貧困率」としたものだ。

 日本政府はこれまで公式には貧困率を発表していないし、況してやそれを基準に貧困率を下げるような政策も採り入れていなかった。国が保障すべき最低限度の生活をどう考えるのかとか、いかに支援するのかとの長期的なビジョンが欠けてはあまり意味がない。しかし、遅かれとは言え、とかく目こぼれしていた貧困者の生活に、具体的な数値が加味されて俎上に上がったことは善しとすべきであろう。

 ところで、貧困率というのは一体どれほどの数値なのかと言えば、対象国が現状では極めて少なく僅か30カ国である点から世界のレベルを比較するのは難しいが、意外なのは日本がその30ヶ国の中で4番目に高い(14.9%)という実情である。対象国は高々30カ国ではあるが、OECDによれば、日本は貧困国ということだ。アメリカに至ってはもっと貧困国ということで、すんなり受け入れ難い数値ではある。一番高いのは、メキシコ(18.4%)、以下トルコ(17.5%)、アメリカ(17.1%)、日本、ドイツ、イギリス、オランダ、フランス、スェーデン、デンマークの順になっている。アジア・アフリカ諸国が一国も入っていないのは、統計がないからで、メキシコ、トルコは別にして先進諸国内での比較ということになる。

 それにしても中国、インド、ロシア、シンガポール、韓国、アジア・アフリカの発展途上国が入らなくては比較すること自体に格別意味があるようには思えない。指標として価値のある資料に肉付け出来るかどうかが、今後広く活用されるかどうかの生命線となるだろう。いずれにしろ、これまでどうして厚労省はこのような国際指標を発表しなかったのだろうか。

2010年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com