1243.2010年10月8日(金) ノーベル平和賞は中国の民主化運動家・劉暁波氏に

 このところ連日ノーベル賞の話題で持ちきりである。昨日は文学賞受賞者が発表されたが、ひょっとすると受賞の可能性があると注目されていた村上春樹氏が賞を逃したことで緊張がほぐれた。

 さらに今日は平和賞受賞に際して、中国の民主化運動活動家で作家の劉暁波氏に受賞されるかどうかに世界中の視線が注がれた。予想されていたように、平和賞は劉氏に決まった。事前に中国政府が、劉氏は中国の法律を犯した犯罪人で、そのような人物にノーベル賞を授与することはノーベル賞の主旨に合致しないし、ノーベル賞の権威を失墜させると中国流の過剰な警告を発していた。仮に劉氏に賞を授与するなら、ノルウェイと中国の外交関係に支障を来たすことになるだろうとの尊大な圧力もかけていた。

 劉氏は天安門事件の中心的な活動家として、かねてより中国政府が監視を怠らなかった人物だが、2008年に中国共産党の1党独裁を批判する「08憲章」を起草しウェブサイトに発表して、国家政権転覆扇動の罪で捕えられ懲役11年の刑が確定して現在服役中である。

 中国政府の反応はまだ正確に伝えられてはいないが、このホットニュースを中国国民に知らしめることに神経を尖らせている中国は、日本からの海外ニュースや、中国国内の外国メディアから発信される情報を遮断すべく、テレビ画面に一時暗幕をかけて国民の知る権利を奪ってしまったようだ。政府に批判的な民主化運動と言論の自由を国民が知って、第2の天安門事件やクーデターの発生を恐れているからだ。

 さて、一方で最近の急激な円高に対して日本政府は先日一部為替市場介入を行ったが、あまり効果的でなく、ついに1ドル=82円台まで進んだ。この円高相場に対して次の手を打つべく思案中である。

 これに対してG7財務相・中央銀行総裁会議がまもなくワシントンD.C.で始まる。G7に先立ち温家宝・中国首相は、もし人民元が高くなれば多くの輸出に頼っている中国企業は倒産し、地方から出稼ぎに出ている農民は故郷に帰らなければならなくなり、中国社会は混乱すると、相変わらず自己中心的な理由で諸外国からの人民元切り上げ圧力を跳ね返そうとしている。これも中国の自分たちの論理だけを押し通すいつもながらのやり方である。中国が人民元の固定相場を維持させて、人民元安のまま各国の批判をかわそうという虫のいい論理である。世界も中国の狡い戦略を見抜いて、何とか自分たちの利だけを追求しようという中国を説得しようとするが、したたかな中国には中々通じない。

 平和賞にしろ、人民元安にしろ、中国は自分たちの都合だけを優先させて、これから経済大国としてどう世界に対して責任を果たそうというのか。今後の動向を注目してみてみたい。

2010年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com