882.2009年10月12日(月) 広島・長崎オリンピック共同開催は本気か。

 今日は体育の日であるが、昨日突然広島市と長崎市が共同で2020年のオリンピック開催の意向を表明した。いささか唐突のきらいがあり、現時点では全面的に受け入れられ大賛成というわけではないようだ。確かに核廃絶を訴えたオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞して、核廃絶のムードが高まる中で、タイミングとしてはパンチが効いて大向こうを唸らせるものである。核廃絶の運動に勢いをつける意味でも効果的であるとの声が上がる一方で、少なからず疑問と不安がある。

 疑問点の中で①2016年大会に東京が落選したばかりで、まだ反省も総括も済んでいないこと、②IOC憲章によれば開催都市は1国1都市に限られていて、仮にIOCが特例で認めても両都市間の距離が離れすぎている、③厳粛な被爆地へお祭騒ぎのオリンピックは馴染まないとの被爆者の声、④大きな国際スポーツ大会に相応しいホテルなどの受け入れ施設不足(メインスタジアムの収容力不足、ホテル必要部屋数44,000に対して現在の供給部屋数は13,000)、⑤財政不足(1994年の広島アジア大会の負債がまだ積み残されている)、等々問題があり過ぎ、クリアすべき難題が山積している。

 東京開催が評価されなかった最大の課題は、開催に向けて都民の熱意が不足していたからだといわれている。その点被爆地で開催されるなら、ほとんどの国民は諸手を挙げて後押しするだろう。核廃絶への大きな声を世界中へ届けることも可能となる。多くの目が広島と長崎に注がれることによって被爆地の悲惨さを世界へ訴えることが出来る。これは大きなアピールである。気になるのは、原爆投下75年後の2020年では被爆者の数は極めて少なく、ほとんどの被爆者は亡くなってしまうのではないかとの心配である。

 東京が立候補に名乗りを挙げた時も、総意を得たうえで満を持して立候補宣言をしたのではなく、何となく抽象的な理由で手を上げた。つまり現在の若者には元気がない。夢とか目標がないからだ。若者に夢を与えるためにオリンピックを開催しようという流れだったと思う。このように積極的でなかったことが、今回立候補した4都市の中でムードが一番燃え上がらなかった原因である。

 広島・長崎の立候補なら、被爆地から世界へ向けて核廃絶のメッセージを発信するというはっきりした目的がある。環境整備が整わない内に見切り発車したとの感はあるが、逆に言えば、広島・長崎ほどアピール力を持った都市はない。田上長崎市長が、秋葉広島市長に引きずられたような印象もあることはあるが、前回東京と福岡が対立した構図の二の舞だけは避けて、ここはひとつ国を挙げて両都市を支え平和国家日本をPRしてみるのも、日本の力と存在感を訴える良いチャンスかも知れない。

 これからJOCの意向を勘案して、方向性が定まっていくと思うが、果たして広島・長崎におけるオリンピック開催は実現するだろうか。

2009年10月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com