民主党政権になって新しい閣僚が所管の事業を精査して、検討したり見直したり、その行動にスピード感を持ってやっているような印象を受ける。その結果が、鳩山新内閣の支持率が70%を上回っている要因ではないかと思う。
今日は前原誠司・国土交通大臣の大胆な発言が注目を浴びた。同時に北沢俊美・防衛大臣の発言も大きく取り上げられた。
前原大臣の発言は、従来の国の航空行政を変革しようというものである。空港使用区分は成田空港工事前から直近の麻生政権まで、国際線は成田空港を、国内線は羽田空港を原則使用する「内際分離」政策の下に実施されてきた。それにも関わらず、前原大臣は、突然羽田空港を24時間使用可能な国際的なハブ空港に拡張し、仁川空港(韓国)及びチャンギー空港(シンガポール)に奪われているアジアのハブ空港の座を取り戻そうとの決意の下に思い切った提案をした。その背景には、昨日橋下徹・大阪府知事との会談の際関西新空港ハブ空港案を突き付けられ、早めに腹案を発表する必要があったのではないだろうか。
昨日橋下知事は伊丹空港を廃止して、関西地区では関西新空港に一本化して関空を日本のハブ空港にしたいとのアイディアを提案した。しかし、前原大臣は国策としては、まず羽田の拡張工事を完成させて羽田を国際ハブ空港へ発展させていくという強い意向を表明していた。
つれなくされた橋下知事の気持ちはどうにも収まらない。関空への負担金を他の費用に転用するなどと威嚇的な発言をしている。一方で「内際分離」政策により国際空港としての地位を得ている成田空港を抱える、地元も収まらない。成田空港が首都圏の国際空港として発足した歴史と経緯を理解して欲しいと訴えている千葉県知事と成田市長は、憤懣やる方ない記者会見を行った。これからどういう方向へ行くのか道筋は見えないが、いずれにせよ調整は手間取ることだろう。
他方、北沢大臣は政府見解が「単純延期はしない」と強調していた海上自衛艦のインド洋における海上補給支援活動を派遣期間の切れる来年1月に停止して、自衛艦を撤収させると今日表明した。こちらはこれからアメリカ政府との間で、改めて話し合いが行われるだろう。北沢発言の直前に岡田外相のアフガン訪問による民生支援活動の確約が担保されていたことが、北沢大臣の明確な公式発表につながったのではないか。
今後日米間と国内で突っ込んだ話し合いがなされるだろうが、これまでの自民党政権のやり方とは明らかに違う。プロセスも的を射ている。中々やるなぁというのが率直な感想である。しばらく目を離さずに、今日の2人の大臣の発言の方向性を見守りたい。