今年から車の免許証更新の際、高齢者に新たなハードルが設けられた。70歳以上のドライバーが免許を更新するためには、従来の更新手続きの前に高齢者講習を受けなければならなくなった。これについては6月に東京都公安委員会から主旨を綴ったハガキを送ってきた。偶々医院へ寄った序に交番で尋ねたところ、巡査も詳しくは知らなかった。ことほど左様に今のところそれほど世間で知られているわけではない。巡査も本署へ電話で照会してくれて、漸くことの次第が分かったほどである。
更新へひとつのハードルを設けることによって、出来るだけ事故発生率の高い高齢者に面倒だと思わせて、彼らから免許証の自主返上を求めようという魂胆ではないかとつい勘ぐりたくなる。
先月末に受講予約をして今日やっと二子玉川のコヤマ・ドライビングスクールで3時間の講習を受けることが出来た。受講希望者が多くて、教習所もてんてこ舞いのようだ。受講者5人に対して講師が2人だから、講習料5,800円も高いとも言えないと思う。聞けば、毎回6人の受講者に対して1日3回高齢者講習を実施しているという。
その講習だが、教室で視野測定検査と運転適性検査を済ませてから、車に乗って実技チェックが行われた。これで振るい落とされることはないので、気にすることもないのだが、他の4人は私より年長らしく普段はあまり運転することもないようだ。ある男性の如きは、運転が荒っぽくてこれでは路上を走ったら事故を起こすのではないかと心配になったほどである。3人の女性も月に1度程度しか運転しないと言っていたから、件の男性と運転能力は五十歩百歩だろう。この様子を見ていると、公安委員会が高齢者のドライブにあまり乗り気でない気持ちが分かる気がする。
自慢話めくが、私自身テレビ画面による運転適性検査のシミュレーションでは、「状況の変化に対する反応の速さと正確さ」と「複数の作業を同時に行う能力」で平均点以上だったし、30歳台~50歳台の平均を上回ったので、まずまずクリア出来た。総合コメントでは、「機能は全般的にやや優れています。また、非高齢者と比較しても平均的です。しかし、その時の調子で操作がやや遅れたり、危険に気づくのが遅れることがあります」と書かれていた。停止線を超えて停止したことがばれてしまったのかもしれない。自戒しなければいけない。
とりあえず、「高齢者講習終了証明書」というものを頂いてホッとした。
その後二子玉川から駒沢大学へ寄り、2時限の講座を受講する。清田義昭講師の講義では前回同様にビデオを見せてもらい裁判について話を伺った。東海テレビが制作した「光と影―光市母子殺害事件弁護士の300日」で重苦しいドキュメントである。事件当時少年だった犯人の実名が明かされたことで発売前から話題になっている増田美智子著「福田君を殺して何になる」の内容紹介に併せて解説があった。事件発生とともに世間を震撼させた、この事件は山口地裁、広島高裁、最高裁、高裁差し戻し、そして今再び最高裁へ向かっている。現時点では高裁で「死刑」の判決が出ている。近いうちに最高裁の判決が出されると思うが、最終的にどういう判決になるのか関心のあるところである。原告の被害者遺族や犯人の言動より、むしろ21人の弁護士の苦労話に視点を向けた正義感の篭った力作である。内容は前回のビデオ同様深刻で、少々暗い話である。
さて、国連総会の軍縮・安全保障委員会においてアメリカ代表が、「遅くとも2012年までにアメリカの核兵器保有量は、2001年の水準からほぼ半減する」と表明した。オバマ大統領が提唱する「核兵器なき世界」へ一歩踏み出したような感触を受けた。それが事実なら、今度はアメリカと並ぶ核保有大国のロシアが、具体的な削減計画を公表する番だ。