セルビアの首都ベオグラードに住む友人山崎洋さんから、嬉しい便りを受け取った。昨年セルビアで出版したセルビア語訳本「KODIKI」が、日本翻訳家協会から翻訳特別賞を授与されたと知らせてくれた。「KODIKI」は言うまでもなく、日本の「古事記」の翻訳書であり、ベオグラード大学で日本語を学ぶ大学院生らの協力を得て、彼が中心になってセルビア語に翻訳したものだ。変形のハードカバー判で脚注を加えて400頁近い立派な学術書である。表紙もわざわざ伊勢神宮の徴古館から許可を得て撮った神武天皇像である。
昨年秋彼とともに富士霊園にあるブケリッチ家のお墓にご両親の墓参りをした際、発行されたばかりの「KODIKI」を戴き、苦労話を聞かせてもらった。その時「KODIKI」は、計画段階では日本の外務省から助成金をもらえる話だったが、完成した後になって屁理屈を言われ、その挙句に約束していた助成金をもらえなかったと言って、外務省のやり方に憤慨していたことを思い出す。でも、この受賞で翻訳の地道な苦労が少しは報われることになって良かった。今月27日に学士会館で行われる授賞式に、一時帰国して出席すると知らせてもらった。会いたいと言っているので、私も会って直接お祝いを言いたいと思っている。今回はペンクラブの常務理事で国際担当の堀武昭さんも、今度日本に帰って来たら是非会いたいと言っていたこともあり、彼にも知らせたいと思っている。
さて、先日来国土交通省が頭を悩ませている、日本航空の再建問題について大臣直轄の作業部会タスクフォースが再建案を提出した。しかし、財務省とメーン・バンクの日本政策投資銀行が素案の受け入れに否定的である。
その最大の理由は、政投銀ら銀行グループに対して3,000億円にものぼる債権放棄を求めて、債務超過を解消しようとのプランが受け入れ難いからである。数年前にも同じ手法で日航を緊急支援した経緯もあり、銀行としてはそう簡単には同じような支援プランを容認し難いのだと思う。日航自らが血を流す日航経営者側の①年金減額、②人員削減の提案が、OBや組合から反発を買い、話し合いが進まない日航側の都合優先が心情的にも認め難いのだろう。例えば、年金については年金債務額を3,300億円から1,000億円へ圧縮する方針の難航が予想され、人員削減でも日航経営陣が予定していた3年で6,800人削減計画が素案で大幅に増加され、9,000人~10,000人へ上積みされた。これには日航側から相当な抵抗が予想される。
しかし、仮に会社倒産となったら身も蓋もない話になってしまう。このままの状態だと日航救済問題も解決の糸口が見つからず、デッドロックに乗り上げてしまいそうだ。
問題は、この間にも日航の借入金については金利がかかっており、いくら前原国交相がいきり立っても日航救済の手立てが見つからず、中々双方にとってほど良い落しどころが見つからないことだ。
ナショナルフラッグ・キャリアの日本航空もどうやら正念場を迎えつつあるようだ。昨日の株価は対前日で13円下がって終値は101円となった。ライバル社ANAは逆に13円上がって250円である。さあ日本航空、どうする?