918.2009年11月17日(火) 山崎洋さんの翻訳賞受賞が朝日に

 今朝の朝日新聞第2面の「ひと」欄を見てびっくりした。誰あろう、そこに友人・山崎洋が載っているではないか。内容は「古事記」セルビア語訳本の功績により日本翻訳家協会特別賞を受賞したことと、彼の数奇な生涯、家庭事情が書かれている。

 彼はすでに10日にセルビアへ帰っているが、いずれ送られてくるであろうこの新聞記事を見てどう感じるだろうか。この記事を書いた石川幸夫記者は知ってか知らずか、彼の父親について、ゾルゲ事件の首謀者のひとりと書いているが、はたしてそうだろうか。終戦半年前に網走刑務所で獄死された父・ブランコ・ド・ブーケリッチ氏は、首謀者だっただろうか。「ゾルゲ事件」の定説は、一応リヒャルト・ゾルゲと尾崎秀実が首謀者とされている。ブーケリッチ氏は首謀者ではなかったとの説が根強い。だからこそ、死刑の宣告を逃れ、網走送りとなり終戦直前に獄中で亡くなった。生前彼の母上と電話でお話した時、もう少し頑張って生きてくれれば、家族揃って生活することが出来たのにと、ブーケリッチ氏の早い死を嘆いておられた。

 いずれにせよ、彼の「古事記」が、高く評価されたことはこの上なく嬉しいことである。早速メル友に情報を流した。ゼミの須藤晃くんからすぐ返事が来た。昨年1月に3人で夕食を一緒にした時の印象を書き添えてくれた。

 彼のセルビアにおける生活も半世紀近くになる。観光地としては派手に宣伝されるクロアチアに比べて、セルビアは地味な感じがする。実際世界遺産もクロアチアに比べれば、目立つものが少ない。隣国同士でお互いに仲も良くないようだ。いつか彼が言っていた。セルビア№の車でクロアチアへ入ると、嫌がらせを受けることがあると言っていた。まだまだ日本では考えられない人生がこのまま続くだろうが、頑張って欲しい。

 さて、今日の多摩美術大の講座は、メキシコの美術と建築だった。先週はインド旅行中だったので欠席したが、ヨーロッパの芸術ばかりでなく、発展途上国の芸術も学んでいる。メキシコの芸術はシケイロスの絵画が有名だが、加藤嘉・神奈川大学教授がパワーポイントを自在に操りながら数多くの珍しい建造物や絵画について説明してくれた。絵画や建築物の他に、南部コヨアガ地区にあるメキシコ国立自治大学(UNAM)の一風変ったキャンパス全体の建物群は、確かに芸術的である。驚いたのは、この大学キャンパスが世界遺産に認定されているのだ。医学部、図書館、本部建物、陸上競技場などの施設にはすべて特異な絵画や、デコレーションが施されている。それらが一体的に捉えられて世界の大学で唯一の世界遺産として認定されている。今日の講義はユニークで面白かった。

2009年11月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com