3164.2016年1月11日(月) 成人の日に少子化問題を考える。

 今日は成人の日である。少子高齢化時代が訪れ、近年新生児の数が減っている。その傾向は新成人の数の上にもはっきり表れている。今年の新成人は121万人である。一昨年と並んで過去最少である。5年ごとに過去に遡ると124万人、143万人、157万人、189万人となり、減少傾向が数字的にも明らかである。10年後は106万人にまで減少すると推定されている。

 かつてマルサスは「人口論」で「人口は制限されなければ幾何級数的に増加するが生活資源は算術級数的にしか増加しないので、生活資源は必ず不足する」と述べたが、これがマルサスの期待するようなアカデミックな研究テーマとして理解されず、人口抑制のためのひとつの国家政策手段として便宜的に採用された実例がある。それが、かつて人口急増で食糧増産が追い付かず、将来的な展望もなく恣意的に人口を抑制するために「一人っ子政策」を取り入れ、今日になって人口構成の歪みからその政策を中止することを決めた中国の例を見るまでもない。

 日本の場合はそのような乱暴な国家政策に左右されたわけではないが、人口が緩やかに減少し始めた。しかし、国家百年の計を考えれば、現状をこのまま放置すると将来的に出生数は確実に減り、それは労働人口の減少を来し、経済成長を低下させることになり、国家経済の危機を生じさせる。それらの観点から、今日では生めよ、増やせよの出産奨励策の傍ら女性の権利を擁護する考えが急速に高まって来た。

 欧米諸国のように昔から移民政策を取り入れていた国家にとっては、これまで労働人口、或いは国の人口構成面ではあまり悩みがなかったようである。途上国の労働者を自国の社会体制の中に組み込み、制度を巧みに運用してきたのである。だが、最近の難民問題を見るにつけ、かつては低賃金で雇用を賄い貴重な労働力として利用し経済発展に多大な貢献をした移民を少しずつ忌避する傾向が表れて来た。

 今日シリア内戦によって多くの難民が生まれテロ防止の面で、また同時にアフリカ諸国から苦しい生活から逃れてきた人々に対して人種差別の面で、受け入れ先進国が厳しい鎖国政策を取るようになっている。

 最近のシリア難民に対して比較的理解を示してきたドイツですら、昨日辺りはケルン大聖堂周辺で多数発生した暴行、窃盗、恐喝事件の容疑者の中に難民申請者がいることが判明し、ドイツ国民の間にも難民排斥の声が高まって来た。やはり一筋縄では行かない根っこの深い問題を孕んでいるのが、難民問題であり、移民問題でもある。突き詰めれば人口問題に行き着く。

 さて、昨日ラグビー大学選手権決勝戦が帝京大と東海大の間で行われたが、27-17で帝京大が7連覇を遂げた。この数年帝京大は大学チームの中で圧倒的な力を発揮して優勝も当然と思えるが、かつて7連覇を成し遂げた新日鉄釜石や神戸製鋼のような社会人チームと違い、毎年中心選手が卒業していく学生チームがトップ・レベルの力を長らく維持し続けていくのは至難であり、これまでにも全盛期の同志社大の3連覇があったくらいである。それが7連覇とは恐れ入った次第である。

 かつては大学でプレイするなら早慶明か、同志社と見られていたが、今では帝京大の練習やチーム作りに憧れる高校ラガーマンが多いらしい。駅伝で青山学院のように急速に力をつけたチームが現われるようになった例もあり、旧伝統校もいつまでも過去の栄光を追いかけてばかりいると、戦術的、技術的に現状分析して新しいチーム作りを研究している新興勢力の大学に遅れを取るようなことになるだろう。

 これは企業経営でも、国づくりでも同じことだと思う。

 なお、昨日のラグビー決勝戦を実況中継していた、高校ラグビー部後輩のNHK豊原謙二郎アナが、身に付けていたネクタイは、昨年創部65周年を迎えた母校ラグビー部の記念ネクタイで彼の母校愛を感じた次第である。

2016年1月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com