早いもので阪神・淡路大震災から今日で15年になる。あの朝テレビを観た時の驚きは、今もはっきり覚えている。最近しきりに市民生活における防災対策が話題として取り上げられる。その点で以前に比べれば、国民の防災意識はかなり高まってきたと思う。
火災に関する注意や警戒の呼びかけも向上して、来年は家庭でも部屋ごとに火災報知機を取り付けることが法制化されるので、わが家でも昨日業者に火災報知器設置を依頼したところである。自宅では階段部分を入れると6箇所に設置することが義務付けられる。まあ安全対策に関する法律だからある程度の出費は止むを得ないのではないかと考えている。
さて、13日に発生したハイチの大地震は、国家が崩壊するほどのダメージを与えたようだ。人口850万人の国民のうち、一説に依れば死者が20万人とも言われている。大統領官邸を始め多くの建物が崩壊して、首都機能が失われたために、指揮系統が隅々まで徹底せず、個人がばらばらに救援や、後片付けを行っているらしく、復旧作業はほとんど進んでいない。支援物資が届いても人びとが闇雲に群がり、食料を奪い合う状態で、折角食料を運んできたトラックが被災民に襲われそのまま逃げ出すような有様で、今まであまり見られなかった光景である。
各国の救援隊が現場にやってきても、どう手をつけたら良いのか呆然と立ちすくんでいる情景がカメラに映し出されている。この混乱状態の中で、思いがけず中国政府が地震発生後13時間内に救援隊派遣を表明した。翌日には約70人の救援隊が救助犬3頭とともに現地へ到着した。救援物資もまもなく到着する。こう言っては悪いが、前例のない中国の素早い対応には戸惑うくらいだ。だが、その真意はこの災害をきっかけにハイチを取り込む意図があると憶測されている。その理由として考えられているのが、これまで中米諸国は北京の中国政府ではなく台湾と外交関係を結ぶ国が多く、ハイチもその例外ではない。この機会に中国政府がハイチとの蜜月を期待したと考えても不思議ではない。
もうひとつの理由として、カリブ海に浮かぶハイチはアメリカの裏庭であり、今後アメリカとの深いつきあいを考えるとそれなりに外交の橋頭堡を築いておくことが肝要だと判断したものと考えられる。
一方、このような自然災害にノウハウを持つ日本が、直ぐ救援隊を派遣するかと思いきや、初動の対応が遅れて後手後手に回り、派遣を決めたのは発生から1日以上経過してからである。現場が混乱し過ぎているのでもう少し状況を把握してからだと考えたにしても、諸外国が抱く災害救援に積極的な国という好印象が低下する恐れがある。金融危機で混乱し、一時国家の破綻も噂されたアイスランドでさえ、「われわれは日本と同じ地震国で経験がある。財政が厳しくても、助けを求める声に応えるのは当たり前だ」と言い、直ちに他国に先駆けて捜索救助隊を派遣して一番乗りで住民を救助している。
民主党政権は「コンクリートから人へ」と総選挙で声高に叫んでいた割には、敏捷な実行力が伴わない。もっとも政府・民主党のここ数日の内情をみていると、初めての通常国会開会を控えたこの時期に、小沢金権問題を抱え込み、カリブ海の小さな国の救援など構っていられないというのが本音ではないのか。