983.2010年1月21日(木) 旅行業界への風向きは良くなったか。

 日本航空が破綻したことは一航空会社のつまづきであるばかりでなく、日本経済全体に暗い影を落とした。関係が深い旅行業界からもご他聞に洩れず、あまり良いニュースが聞かれなかったが、それでも日本旅行業協会(JATA)の発表に依れば、2009年の大手旅行会社7社が取り扱った海外パッケージツアー参加者数が、近年漸減傾向の中で久しぶりに対前年11.5%増を記録した。新聞広告で集客している阪急交通社も、出張手配でネット旅行販売の世界的大手エジェンシア社と業務受託契約を結んだ。大手に名乗りを挙げたHIS社も長崎県佐世保市にあるハウステンボスに出資して経営支援するという。ともかく元気を見せてきた。

 こういうニュースはかつて新聞には取り上げられなかった。旅行業界の地位が低かったからだ。それが、今では大学生の求職人気も向上し、旅行関連ニュースが大分取り上げられるようになった。変れば変わったものである。

 今年中に書き上げられるかどうか分からないが、今「士農工商エージェントと添乗員一代記」(仮称)というドキュメントを書いている。かつてはエージェントの地位がいかに低く見られていたかということを思い切って書こうと思っている。実際在職中は随分顧客にバカにされたり、舐められたりしたものだ。倒産した日本航空に比べれば、天と地の差があった。それが今ではエージェントを見る目が軽蔑から大分好意的になってきたし、旅行業界の若者たちは、もうかつてのひがみ根性は抱いていないのではないか。まあ長年禄を食んでいた業界だけに、陽が当たるようになったことは嬉しいことである。

 さて、最近気にかかるニュースとして、ハイチの大地震の被害がある。死者が5万人から20万人と随分幅のある数字であるが、都市がまるごとつぶれてしまったので、被災者数もまったく見当がつかないようだ。大統領府も倒壊して、首都全体が崩壊し、国家自体が機能不全に陥っている。敢えて言えば、国家沈没、国家壊滅と言えるだろう。

 昨日になって地震による死者は7万人と公式発表された。まだまだ増えそうだが、そのハイチから避難民が続々とアメリカへ向かい出した。アメリカでは不法入国は認めないと警告しているが、現在のようなないないづくしの被災状況と今後の生活不安に、住民は不安を募らせ母国から逃げ出そうとしている。悲劇である。元々世界最貧国だったハイチは1人当たりの年間所得額が6万円程度で、やはり貧しい隣国のドミニカ共和国の約40万円に比べてみても、その貧しさは推して知るべしである。

 日本の医療班を主とする救援隊もハイチへやって来た。いつもは対岸の火災視している中国が、今回はスタート・ダッシュが早く他国救援隊の機先を制したかに見えたが、ちょっと躓いてしまった。出足は良かったが、早々に救援活動の最中に事故で救援隊員を8人も失ってしまった。救援活動より自国の隊員の救助、本国送還に忙しく、亡くなった隊員に弔意を表し国葬級の取扱で本国で連日報道するものだから、何のための救援活動だったのかと他国から非難や中傷をされる有様である。こう言っては悪いが普段やり慣れないことをやると、どこかに無理が出る。

 まだ当分ハイチは落ち着かない。

2010年1月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com