1003.2010年2月10日(水) トヨタへの不信感をトヨタはどう取り返すのか。

 先日来大きな問題となっているトヨタのリコールに関して、昨日豊田章男・トヨタ自動車社長が再び記者会見を開いた。アメリカで問題視されたトヨタ各種の車のブレーキとアクセルの欠陥が判明したうえに、日本でも昨年売り出したプリウスのリコール問題が持ち上がったために、海外メディアを含めて400人を超える内外の記者が集まったという。

 遅かった前回の社長記者会見では、釈明という点では充分納得させていないために改めて開かれたものである。しかし、プリウスのブレーキがすぐ効かないという指摘や苦情に対しては、フィーリングの問題と逸らしていたトヨタも、今回改めてブレーキの設定が不適切であったと認め、リコールに踏み切ることにした。

 トヨタの対応の遅さもさることながら、アメリカの関係者の追及は執拗で鋭い。トヨタの失態をアメリカ自動車産業の復活に転換させようとの意図もありありと見え、アメリカ政財界、マス・メディア挙ってトヨタ叩きを始めている。それらの声を意識したのか豊田社長の記者会見では冒頭に英語で謝罪した。アメリカ人記者からは「社長が再び会見したのは批判を浴びたからか」とか、「アメリカの怒りをどう分析するか」とか、ことの本質から外れた意地の悪い質問が相次いだ。今日10日にはアメリカ議会でこの件に関して公聴会も開かれる。

 穿った見方をすれば、日本車叩きは日本叩きで、アメリカの言うことを従順に受け入れない最近の日本政府への意趣返しで、普天間基地移設問題のこじれたツケを日本に請求しているようにも受け取れる。

 しかし、所詮何を言ってももとを糺せば日本車「トヨタ」自体に問題がある。優秀な技術以前にトヨタの心が蝕んでいるように思える。最初のブレーキ事故が発生してから原因究明と対策、改善等が遅れを取ったことと、会社側が謙虚な反省と迅速な対応にもう少し配慮していれば、これほど国家間の外交関係にまで発展するようなことはなかったと思う。

 それでもトヨタはリコールとその対応に動き出した。豊田社長も近々アメリカへ説明に出かけるという。この教訓を糧に、もう2度とこのような不祥事を引き起こさないよう世襲社長以下全トヨタ社員が一丸となって、決意を新たに出直して欲しい。

 先週末にカナダのイカルウィットで開催されていた主要7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、中国に対する要望が強く出された。今のG7をG4にしようとの働きかけも中国にその気がなく、主要国の間で中国に対する不満が燻っているという。中国が自己本位で世界のリーダーとしての責任を果たしていないとの苛立ちがある。G7関係国の間では中国に対する幻滅が最近になって一層広がっている。

 一番不信感を与えたのは、昨年のCOP15の際、主要国の期待に反して協定案に妥協しなかったことである。遂にオバマ大統領は、中国にとって触れられたくない安い人民元問題に踏み込んだ発言までしている。中国も今までの発展途上国の仮面をそろそろ外すべき時である。

2010年2月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com