昨年の日本人の平均寿命が厚生労働省から発表された。女性が87.05歳、男性が80.79歳である。世界的にも日本は長寿国だったが、女性は4年ぶりに香港に抜かれて世界2位に、男性は3位から4位に下がった。それでもいずれも過去最高齢である。傾向として言えるのは、女性長寿国の中で上位5カ国の内、4位の韓国を含めてアジアで3カ国を占めていることであり、男性も5位のシンガポールを含め3カ国がアジアの国であることである。これはアジア人には他の地域に比べて生存する条件、環境に恵まれているということにならないだろうか。食べ物にしても欧米のような高カロリーではなく、どちらかというと低カロリーで質素でいて自然の素材に近い物だと言える。これからも日本人を含めてアジア人の寿命は延び続けるだろう。
いずれにしろ世界的に長寿傾向が見られて、それは高齢化問題をもたらす反面、お年寄りの活躍の場が広がったという一面もあるのではないだろうか。
昨日アメリカでは大統領選の民主党候補にヒラリー・クリントン氏が決まった。68歳である。一方の共和党候補のドナルド・トランプ氏も70歳で、若手が進出する機会の多いアメリカ社会でも異例なくらい両候補者が高齢であることが際立っている。オバマ現大統領が就任したのは45歳の時だったし、ブッシュ・ジュニア元大統領は48歳で就任した。ヒラリーの夫ビル・クリントン氏が大統領に就任したのも46歳の時だった。こうしてみるとアメリカ合衆国をリードする次期トップにも高齢化の影響を受けてかなりベテランがその地位に就くようになる。
一般的に年齢を重ねるに従い、保守化の兆候が見られるものだが、アメリカ社会にもその点で保守化と内向き志向がこの大統領補選の過程で見られるようになった。
クリントン氏とトランプ氏の対決では、「嫌悪度」の高い候補者同士が争う大統領選はかつてないといわれる。意外にも今回はそれくらい歓迎されざる2人が争う構図となった。クリントン氏が弁護士の道を歩み堅実な政治家経験を積み、初の女性大統領に挑戦しようとする脚光を浴びる立場にいるのに華がない。これに対して、トランプ氏は頓挫しながらも経済人として実績を積み重ねてきた。だが、アメリカ建国の礎となった移民を徹底的にやっつけて民族間に対立を煽っている。この2人がそれぞれ好感度が極めて低いというのは、最近のアメリカ社会の問題点を浮かび上がらせているのではないだろうか。
さて、都知事選真っ最中の鳥越俊太郎候補が東横線自由が丘駅前で街頭演説をすると昨日鳥越事務所が言ってきたので、駅前へ出かけて1時間ばかり話を聞いて来た。主たる応援弁士の保坂展人・世田谷区長と蓮舫・民進党代表代行に続いてマイクを握った鳥越氏の今日の主張「3つの0」はこういうことだった。「待機保育児童0」、「高齢者の特別養護老人ホーム入居待ち0」、「原発0」だった。ちょっとお行儀の好い街頭演説だった。しかし、駅前で聴いている人には、午後5時半という時間のせいもあるのか若者がほとんどおらず、中年以上が多かったことがちょっと気になった。夜になって高校時代の友人・大塚武夫さんから電話があり知事選の話題になった。ちょっと政策論争が足りないということを言っていた。今やテレビや新聞よりSNSでPRする方が、効果的で手っ取り早くなったのではないかという点で時代も進んでいると感じた次第である。