1028.2010年3月7日(日) 名曲「雪の降る街を」と内村直也さんの思い出

 昨日の朝日新聞の付属頁「be」1面と3面に、中田喜直が作曲した名曲「雪の降る街を」の誕生のいわれについて詳しい紹介記事が掲載されている。誰でも知っている雪国の情景を寂しく抒情的に唄った歌で、直ぐにでも口をついて出る歌い易いポピュラーな曲である。この曲を想うと思わず作詞者だった内村直也さんのことが思い出される。

 あれは旅行業者に転向した昭和44年の夏、まだ新米添乗員として20数名のお客様を、主催旅行で北海道へ案内した時のことである。お客様の中に内村直也(本名菅原実)さんが参加しておられた。本名で参加されたので、初めの内は内村さんであることが分からなかったが、お仲間のひとりがそっと教えてくれた。中々口の煩い7名ぐらいのお仲間と参加された内村さんは、温厚な方で私がマニュアル以外に、自分で工夫した手作りのコピー資料を参加者全員に配布したことを随分お誉めいただいた。大学の先輩・後輩であることも分かって、余計に気を遣っていただいて、とても思い出に残る旅行となった。

 お仲間の1人が当時の北海道知事・町村金伍氏と親しくされていて、その晩みんなで会食するのだとその方が教えてくれた。

 次の日の札幌市内観光の時、バス・ガイドさんが内村さんを一目見て、「雪の降る街を」を作曲された内村直也さんではありませんかと私にこっそり尋ねた。そうだと教えてあげると、すっかり感激してこの曲は北海道のバス・ガイドにとって最も人気のある歌で、誰でも必ず車内でご披露するのだと言っていた。そしてガイドさんは美しい声で情感たっぷりに「雪の降る街を」を歌ってくれた。内村さんは黙って聞いておられたが、どんなお気持ちだっただろう。

 朝日新聞に依れば、この名曲はフィンランドの映画作品で1992年にベルリン国際映画際国際批評家賞を受賞した「ラヴィ・ド・ボエーム(放浪者の人生)」のエンディングでフィンランド在住の篠原敏武さんと仰る日本人歌手が歌ったという。外国人をも唸らせる名曲だというわけである。

 NHKラジオ・ドラマの人気番組だった「えり子とともに」の主題歌として歌われた曲だが、記事を読むと出来上がるまでに中々面白い伏線があったようである。街のイメージは旭川とも鶴岡とも言われ、それぞれに綱引きをやって記念の碑とか、記念館があるらしいが、作詞家、作曲家ともにどこが曲の生まれ故郷であることかについては明らかにしていない。土地を特定しなかったのは、お2人とも聴く人が自由に想像を広げることを望んだからだと記されていた。

 久しぶりに懐かしい気になった。しかし、記事の最後にこの曲が生まれて40年と書かれてあったが、そんな筈はない。私が内村さんにお会いしたのが、今から41年前でその当時すでに大流行していた。折角の魅力あるストーリーなのにつや消しである。天下の朝日も原稿のチェックが好い加減だなぁとちょっとがっかりした。

2010年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com