1027.2010年3月6日(土) 中国は無理をし過ぎているのではないか。

 大きなお世話かもしれないが、中国の政府高官、官僚、警察の汚職がひどいとはかねがね聞いていた。一昨年多摩大学の公開講座で中国問題専門家の沈才彬教授が、日本の贈収賄とはその金額が桁外れだと冗談交じりに話されたことがある。昨日から開かれている全国人民代表大会(全人代)で、温家宝首相が政府活動報告の柱のひとつとして「腐敗防止」を訴え、贈収賄、背任、公金乱用を厳しく追及する姿勢を示すこと自体極めて異例であり、いかに汚職が蔓延っているかを示している。国家・国民にとって、世界に向けた首相のスピーチの内容としては非常に恥辱的なものだ。

 今朝の朝日新聞に依れば、ある政府高官のごときは並外れた賄賂を得て、分かっただけでも10年間に約6億5千万円もの汚れた金を得ていたとされる。上海で毎晩行われている地下カジノの1日平均収入は、実に約3億9千万円だという。中国ではもちろん賭博は違法である。それでも中国全土で行われている地下カジノの取り扱い額は、年間約13兆円に上ると言われている。実に中国国内総生産 (GDP)の3%に匹敵するというから度肝を抜く数字である。今やラスベガス、マカオを抜いて中国は世界屈指の賭博大国になりつつある。これが、かつて勤労、清廉潔癖をモットーとしていた共産主義国家だろうかとその落差を思うとそぞろ今昔の感に堪えない。

 中国は全人代で今年の経済成長を対前年度8%増と予測した。これまでの成長路線からすれば、ややそのテンポは鈍化したとはいえ、世界的に景気が一向に上向いていない中で、相変わらず世界の中でその存在感は際立っている。今年中にはGDPで日本を追い抜き、アメリカに次ぐ世界第2の経済大国になることは間違いない。

 その中国が、どうもイメージとしてマイナス要因が出てくるのは、国家自体が世界に比肩出来る力を身につけてはきたが、国としての存在感を更に必要(本物の力)以上に世界で発揮したい思惑があるからである。しかし、そこには欧米から指摘、非難されているように、中国通貨「元」の価値が実質以上に低く抑えられていることが影響していることも事実である。中国はその点を謙虚に直視するべきであると思う。本物の力と思惑とはあくまで別であり、中国はこのあたりに些か思い違いがあるのではないか。やはり中華思想をテーゼとする中国は相当背伸びをし、無理をしていると思う。

2010年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com