落語の初代・林家三平師匠の十八番「三軒並んだラーメン屋」の小咄を引き合いに出して、博多・長浜ラーメンの元祖争いを今朝の朝日「天声人語」が面白おかしく紹介している。
三平の小咄に出てくる「三軒並んだラーメン屋」とは、右端のラーメン屋が「日本一うまい」と看板を出すと、左端は「世界一うまい」と看板を出した。困った真ん中のオヤジが寝ないで考えた看板が「入口はこちら」というユーモア溢れる小咄である。
しかし、この三平の小咄は、果たして三平独自のアイディアがネタとなって高座で語られるようになったのか、私の体験上些か疑問に感じた。
というのは、まだ東西冷戦中の1979年にブルガリア・トラキア地方のプロブディフで学校訪問をした時、同じような話をブルガリア人通訳から聞かされたからである。8日間も行動を共にして、気分的にも打ち解けた通訳さんは、笑いながらブルガリアのユーモア話として聞かせてくれた。
そのジョークというのが、3軒並んだ端の1軒には「天国に舞い上がったような気分になるフランス料理店」との看板があり、もう1軒は「舌がとろける中華料理店」と看板を掲げていた。しかし、お客はみんな3軒目のレストランに入った。何とそのレストランの看板には、ただ一語「ENTRANCE」とだけ書かれていたというユーモラスなものだった。当時社会主義体制のクビキによりソ連にがんじがらめにされ、ソ連の申し子とされていたブルガリアに滞在して、窮屈な中でほっとするようなジョークだったので、殊更印象に残っている。
三平師匠がこの落語を話したのを聞いたことはないが、どこにもありそうな小咄でもあり、断定的なことは言えないが、多分これは三平のアイディアから生まれた小咄ではないような気がする。
それにしてもどこにも似たような話があるものである。
さて、昨日子ども手当法案と高校無償化法案が衆議院で可決され、法案は参議院へ回った。今年度内に成立する見通しである。その高校無償化法案の朝鮮学校を対象外とするとの主旨が、懸念していたように国連の人種差別撤廃委員会で問題となった。同委員会報告書は「在日コリアンや中国人指定の学校が公的支援や補助金などの面で差別的扱いを受けている」と指摘した。これについて、あるNGOは、もし勧告に反して朝鮮学校外しを強行するなら、国際的批判を浴びるだろうと厳しい見方をしている。
どうするのか、まだ政府は決めていないようだが、そんなにぐずぐずしている時間はないのではないか。