1040.2010年3月19日(金) クロマグロの国際取引禁止案否決

 夕べ遅くなって日本に伝えられたドーハからの第1報は、予想外の結果だった。日本にとっては朗報とも呼べるものだった。取り敢えず日本には危機回避となった。会議開催前は、ほとんど日本のモナコ提案反対の立場が支持されるような空気ではなかった。これで今後はマグロのトロを食することは難しくなると考えられた。世界でも初めて成功した近畿大学のマグロ養殖がメディアで大きく取り上げられ、今後はこういう資源保護派を納得させるような技術の開発を進めるべきだとの声も高まっていた。

 ワシントン条約締約国第1委員会の投票は、予想とはまったく反対の結果となり、モナコ提案は完敗とも云えるほどの大差で否決された。その背景には、相変わらず欧米先進国の自分たちだけの権益だけは守ろうとの保守的な考えが表れた反面、沿岸漁業国のアフリカ、中東、アジアの国々の間ではこの提案がひとつのきっかけとなり、今後他の漁業権まで禁止へ向かうとの危機感が生まれてきたことである。

 開会前はモナコ案に反対を表明していた国は、日本のほかには韓国とニュージーランドだけだった。それが蓋を開けてみたら、投票は無記名とは言え中国、ロシア、アイスランドのほかに、前記の国々が反対票を投じたようだ。中国のアフリカ諸国への説得工作が効いたとも云われている。EUは賛成と言っていたが、必ずしも一枚岩ではなく27ヶ国のEU諸国が参加していながら、賛成票のトータルが高々20だった。

 ただ、これで1件落着とは行かず、漁業資源の枯渇は世界的な問題であり、魚類の最大消費国である日本としては、世界中から厳しい目を注がれる中で今後どのように資源保護対策を主導的に進めていくかが問われている。

 さて、今月9日に外務省密約問題を公表して、密約ありと政府は認めた。今日衆議院外務委員会は、西山太吉氏と当時の外務省関係者の参考人質疑を行った。肝心の密約資料を破棄したことが明らかになった。証言した元条約局長が後任者に引き継いだ核持ち込み密約に関する文書のうち、最重要資料の半数8点が発表されていないと証言した。つまり紛失したのである。否、破棄したのである。外務省の機密書類保管に関する対応は、まったく無責任極まる。

 朝日夕刊には西山太吉氏の証言を載せている。「言いたいのは公平な裁きだ。裁かれてしかるべきものが裁かれぬまま今日に至った。まったく追求がされなかった」と証言した。その通りであり、事件を闇に葬ろうとした当該者に対して何らかの処罰を科すべきであろう。西山氏に関連して知人の北岡和義さんについて紹介している。北岡さんは先日の最高裁西山裁判の際も、TV画面に大きく写っていた。西山さんと同じ記者仲間として当初から西山さんを支援する活動を献身的に行っている。偉いなぁと思わず頭が下がる。

2010年3月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com