JN協会が発行する「観光書」の内容3章のうち、「観光」章については私が執筆しているが、イタリア・ミラノで活躍している大島悦子さんもイタリア観光について執筆することになっている。偶々一時帰国中の彼女が明日再びイタリアへ発つので、打ち合わせをしたいと昨日電話があり、今日ハイアット・リージェンシー東京で昼食をともにしながら打ち合わせた。
本書はJN協会編集による共著であるが、やはり共著となると関係者の合意を取り付けるのが難しい。つい最近も「知の現場」で思い知ったばかりだ。本来は中心となる人が、主旨や、内容、文体、ボリュームなどについて説明し、関係者を納得させて方向づけするというのが望ましいが、中心となるべき人がリーダーシップを取らないので、どうも各執筆者が勝手に作業を進めているという印象である。それぞれの執筆者がそれなりの実績のある人ばかりだから、調整は余計難しい。大島さんとは頁数の分担など、ある程度すり合わせをしたので、今後はメール交信により連絡するようになる。私自身原稿は半分くらい書いたので、今後後半部を一気に書いて早く全文推敲へ持って行きたい。
昨日、そして今日、中国に関するニュースがマス・メディアを賑わせている。ひとつは、中国の石炭運搬船がオーストラリアの「世界遺産」グレート・バリア・リーフ内で座礁して重油が漏れ出し、沿岸のさんご礁の汚染が心配されていることである。オーストラリア政府の発表によると、船はルールを無視してさんご礁内へ入り込み座礁したらしい。どんな意図があって中国船は禁止水域へ侵入したのか不明である。
もうひとつは、大連の刑務所に拘留中の日本人死刑囚の死刑が今朝執行されたニュースである。死刑囚は4年前麻薬密輸犯として逮捕され、死刑が確定していた。日本なら精々15年未満の判決らしい。日本政府は中国政府に対して懸念を表明していたが、強く諌めるとか抗議するということはなかった。所詮外国で犯した犯罪にその国が自国の法律に基づいて下した判決に対して、とやかく言うことは憚られるが、判決の経緯が不透明であることや、審理を充分に尽くしたかという点において疑問が残る。日本政府の及び腰はあまりにも卑屈である。
6年前のサッカー・アジア・カップで地元中国チームが敗れた腹いせに、応援の中国人ファンが、暴徒となって日本選手に野次や物を投げつけた挙句に、スタジアムに来ていた日本公使の公用車を襲って破壊したが、この暴挙に対して中国政府は一切謝罪しなかった。先日2年前の毒入りギョーザ事件の中国人容疑者が逮捕された際も、犯罪は日本国内で仕組まれた疑いが強いとする中国は、日本に犯罪の原因と疑いがあると主張し続けていた。にも拘わらず、中国人が犯人と判明し逮捕されても、これまでの不実に対して中国政府は日本政府に対して謝罪するような態度は見せないし、日本が中国に対して幾分なりとも謝罪を要求したというような話や形跡もない。
つまり、今回の事件に限らず、今まで日本は中国の言いなりで、言われっ放しなのである。
もう少し言うべき時にははっきり物申す姿勢を明確にしない限り舐められ続けて、今後も思い上がっている中国の風下に立ち続けることになるのではないか。