1062.2010年4月10日(土) 外交機密文書裁判で原告団が全面勝訴

 民主党政権になって以来、外交文書密約について外務省も広義の密約があったという言い方で密約を認めた。しかし、どうにもすっきりしなかったのは肝心の外交文書を紛失したとの外務省側の説明である。国家機密が盛られた重要文書が無くなっても、それを公式に発表しないばかりでなく、関係者が誰1人として誤りを認めようともせず、責任もとろうとしないことである。日米間の外交文書という重要書類がいかに時は経過したとはいえ、重要書類だけに管理責任者が金庫へしっかり保管し、閲覧の際にも目を光らせておけば、そう簡単に自然紛失するものではないのではないかとの疑問は以前からあった。密約がありながら、ないと嘘の証言を繰り返してきた政治家や外務省幹部職員にとって、隠し通せなくなって都合が悪くなり意図的に廃棄処分したのではないかとの疑念が拭いきれない。

 折りも折昨日東京地裁は、密約の存在を認定したうえで、文書は極めて重要性が高く、国が保有していると判断した。それにも拘わらず充分探さずに不開示としたのは違法と述べ、外務省と財務省に関連文書を全面開示するよう命じた。さらに、国民の知る権利をないがしろにした対応は不誠実とまで決め付けた。紛失されたとされたこれらの外交文書は、永久保存対象など重要性が極めて高く、外務省などの通り一編の調査だけでは合理的かつ十分な探索をしたとはいえず、廃棄されたとも認められないとして文書の存在も認定した。

 つまり裁判所として外交文書は外務省が隠匿していると看做している。判決では、歴代外務事務次官をはじめ、文書作成の時期移行に関与した可能性のある者に聴取することが求められるとして、徹底した再調査をするよう求めた。ここまではっきり証拠の提出を求められるとは考えていなかった岡田外相もちょっと戸惑い気味である。だが、司法はそう認定した。外相は裁判所に対して控訴も検討しているなどと馬鹿なことを言っているが、最早矢は放たれた。裁判所も指摘しているように、すぐさま歴代外務次官以下に事情聴取するべきではないか。さもないと外交機密があったかどうかを徹底的に内部調査すると言った手前、外相も格好がつかなくなるのではないだろうか。

 これまでとかく官には逆らわずという諦めムードと、役所がすべて調べたという言葉を本当かどうかまで追求する裁判はなかったような気がする。その意味では、好い加減に対処する役所の体質に鉄槌を下したとも受け取れる。

 それにしても本裁判の原告団の中心人物・西山太吉氏の国家に対する真相究明の辛抱強い戦いには頭が下がる思いである。今晩NHKドキュメンタリー45分番組「追跡!A to Z-密約問題の真相を追う」でも、事件の本質と裁判の経緯が詳しく放映された。

 今月2日に広島球場グランドで倒れ亡くなったプロ野球巨人軍・木村拓也コーチの葬儀が広島市内で行われたが、その場面をNHK7時のニュースで放送したのは極めて珍しい。昨年まで現役プレーヤーとして活躍し、今季からコーチとしてスタートしたばかりだった。練習熱心で、人柄も良く人望もあったようだ。それが、野辺の送りに多くの人が集まった原因だろう。偶々そこで弔辞を述べていたのが、ゼミの友人で巨人軍オーナーの滝鼻卓雄くんだった。最近会う機会が少なくなったが、読売新聞社社長を辞めてもまあ元気そうで安心した。

2010年4月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com