1067.2010年4月15日(木) 国を代表する人物の器の違い

 一昨年の四川大地震に次いで、中国内陸部でまた大きな地震があった。前の地震震源地と600㎞程度しか離れていない、青海省玉樹チベット族自治州玉樹県において起きたM7.1の大災害である。既に600人を超える犠牲者を出しているらしい。チベット人が居住する貧しい山間部で、住宅も土台が弱くて8割の建物が崩壊したと聞く。映像を見る限り貧弱な住居に住む貧しい人びとが罹災者となっている。訪米中の胡錦濤主席は、即座に人命救助を優先して災害救助隊を派遣するよう指示した。自然災害とは云え、犠牲者をお気の毒に思う。

 このたびの核安全サミットにおける鳩山首相の影の薄い存在感に比べて、圧倒的な存在感を与えた胡主席は、今や中国がアメリカと並んで世界の世論をリードする象徴であると評してもいい。実際ワシントン・ポスト紙のコラムでは、胡主席に対して最大の勝者と評価したのに対して、残念ながら鳩山首相は最大の敗者であると決めつけられた。さらに、オバマ大統領は首相に対して普天間移設問題が一向に進展していないと指摘し、首相に不信感を表明した。この不信感を今後どう払拭させることが出来るだろうか。そして基地移設問題をどこに落としどころを見つけるのか。やれやれである。

 さて、一昨年の地震にしろ、今回の地震にせよ、偶然であろうが、前回は北京オリンピック3ヶ月前の惨事で胡錦濤主席が来日中だったが、今回も上海万博1ヶ月前で胡主席が訪米中である。「好事(胡氏)魔多し」を証明することになってしまった。

 中国経済は好調を維持しているようで、今日発表された1~3月のGDP実質成長率は、対前年11.9%の伸びを示した。世界中でひとり勝ちの感がある。貧富の差が激しい中国で、特に取り残されている内陸部の映像を見た限りではではとてもそれだけの経済力があるとは思えない。地震被害を受けた地域の住民は貧しく、事故が起きてもすぐ対応出来ない。結局メンツに拘る中国政府も諸外国の緊急援助を仰がざるを得ないことになる。

 余計なお世話だが、中国は貧富の差の激しい社会構造をもう少し平均的に恩恵を受けられる、中間層の多い国民生活のパターンへ改造していかないと、国民にとっては幸せな生きがいを感じない国になってしまうのではないか。

 振り返ってみると1970年代後半に初めて中国を訪れた当時の写真に見られる、自転車がひしめきあう街頭風景や、紅衛兵の人民服姿などを今日の街の姿と比較してみると、まったく別世界である。一足飛びに経済的に豊かな生活を望み、労働より享楽を選んだ結果が現在のような国の隅々までは恩恵が行き届かない歪んだ社会構造になったのだと思う。

 それにしてもことの是非は別にして中国の存在感と勢いは凄まじいものだ。中国のトップは、近年の日本の総理大臣らと比べてもその差は歴然としている。これは現在の両首脳、胡錦濤と鳩山由紀夫の器と格の違いだろう。今朝の週刊誌の広告でも、わが国総理大臣・鳩山由紀夫はアメリカの一部のメディアでは馬鹿者扱いにされているという。「鳩山総理にアメリカが音を上げた。バカが専用機でやって来た」(週刊文春4.22号)。もうこうなるとがっかりを通り越している。

 歴代首相がほとんど2世政治家の甘いお坊ちゃんばかりということが大きな原因だろうか。苦境を切り開くことができない温室育ちばかりが総理大臣にな(れ)る。トップがこれほど外から馬鹿にされては、情けなさも尋常ではない。坂本竜馬に人気が出てくるわけだ。

2010年4月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com