ギリシャの金融不安から、世界中が2日連続して大幅に下落した株式相場を受け、各国政府や中央銀行が緊急対策に乗り出した。これには日本銀行も協調して融資することになったようである。ヨーロッパの中央銀行はユーロ加盟圏の国債を流通市場から買い入れる方針を明らかにした。これで少しは落ち着くのではないかと思う。今日の東証の日経平均株価は、前日比166円高となった。この傾向がいつまで続くのか、外科手術ではなく緊急手当てだけに、先行きは未だ不透明である。一方でアメリカの格付け会社がポルトガル国債を格下げする動きもある。
ギリシャの危機状況が、ポルトガルとスペインの財政不安の噂を一層煽っている。両国とも噂を打ち消すのに懸命である。特にそれを打ち消す人物、ポルトガル首相の名前が、あの哲学者ソクラテスと同じというのが面白い。哲学者の母国はもっと危ないのだから。そのポルトガルの財政赤字はGDPの9.4%で、スペインは11.2%である。相当危機的状況である。加えてスペインは失業率がことのほか高く20%近い。ギリシャの財政赤字は13.6%で、同じく危機を噂されるアイルランドが14.3%と、いずれも苦しい台所事情にある。とりわけ、ポルトガルには、国内産業があまり発展せず充分整備されていないことが、余計火のないところに煙が立つ状況へ追い込んでいる。
それにしても、日米欧は慌てふためいて、この信用不安を何とか収めるべく懸命の努力を傾けているが、伸びゆくアジアはあまり大きな影響を蒙っている様子がない。中国なぞはびくともしていない風情である。インドしかり、発展途上国のタイ辺りでもどこ吹く風というムードで、相変わらずバンコック市内で政府と反政府デモ隊が対立したままである。
その中国であるが、一向に景気が下火に向かう様子は見えない。ところが、あれだけ大騒ぎした上海万博のニュースが、このところ大きく伝えられないのはなぜだろうか。開幕して今日は10日目であるが、これだけ関連ニュースが伝えられず鳴りを潜めているのは、入場者が予定ほど入らないからではないかとつい下衆の勘ぐりで考えてしまう。予定では毎日平均30万人の入場者を見込んでいたようだが、数日前の発表ではその半分の約15万人とのことだったので、ボルテージも下がったのだろうか。
不思議なくらい各テレビ局で万博関連ニュースを報道しなくなったのは、他に何か原因があるのだろうか。