6日の投票で第1党を獲得したイギリス保守党のデビッド・キャメロン党首が、自由民主党と連立政権を組んで首相に就任することに決まった。連立政権は第2次大戦中のチャーチル首相率いる挙国一致内閣以来で、もちろん戦後初めてだそうである。
今回の政変は新しいことづくめだ。まず、何と言っても新首相43歳7ヶ月の若さと、過去200年間で最年少の首相というから驚きである。連立を組む自民党のクレッグ党首も同じ43歳である。尤も、ブレア元首相だって就任時はキャメロン氏より5ヶ月年長だっただけの43歳だったし、ロシアのメドベージェフ大統領は44歳、アメリカのオバマ大統領は48歳である。政治の世界は、若さが強力な武器になる。こうなるとわが鳩山由起夫首相の63歳はどんなものか。
新政権は13年ぶりに政権を獲得したが、今後自民党との政策調整、実行面であつれきもあるだろうし、すべての面でスムーズにいくとは限らない。ブラウン前政権では積極財政政策を取り、市場介入が特徴だったが、今後は財政再建を積極的に推し進め、公務員給与の抑制などに着手するとみられている。破綻寸前のギリシャと同じ程度のGDPに対する財政赤字が12%台で、赤字解消にどんな手を打つのか手腕を問われるところである。
一方、極東のフィリッピンでも大統領選挙が行われ、ベニグノ・アキノ氏が当選を確実にした。こちらの新大統領も50歳である。アキノ氏は、フィリッピンでは名門出で血筋が良い。父親の暗殺は余りにもショッキングだったが、夫の遺志を受け継いだ母親のコラソン・アキノ元大統領は、24年前に支援者が黄色いシャツを着て「ピープルパワー革命」を巻き起こした。
この国は発展途上国にありがちの汚職、脱税、政治腐敗で国力が上がらず、内外の投資家も資金をつぎ込むのに二の足を踏んでいる。アキノ氏が思い切ってスローガンに掲げていた汚職追放が出来るだろうか。政治腐敗が蔓延る土壌だけに、アキノ氏の実行力が問われる。さもないとアキノ家に対抗するマルコス家が虎視眈々と巻き返しを狙っている。マルコス夫人も齢80歳にして、議会への復帰を狙っているというから、執念は衰えないようだ。