菅直人・新首相就任についてアメリカのオバマ大統領が公式に歓迎の意を表した。メドベージェフ・ロシア大統領と温家宝・中国首相からも祝電が寄せられた。
しかし、いずれにしろ外交上の儀礼的なお祝いであり、格別菅首相の理念や行動力を評価するとか、国際社会をリードしていくために相互の連携を深めようというほど強い期待感が表れたものではないと思う。オバマ大統領のコメントは、普天間基地移設問題に関する日米政府間の合意を確認しようと本音が透けて見えるメッセージである。最近の日米関係がギクシャクしている中で、取り立てて新味のある祝福のメッセージのようには受け取れないのではないか。詰まるところアメリカの指図に従って、粛々と合意事項を遵守することを求められているに過ぎないと思う。
水面下で行っている役員人事と組閣工作については、菅首相は小沢グループを締め出そうと考えているようだ。脱小沢による清新なイメージを打ち出して、政権浮揚を狙っているようだ。鳩山前首相が小沢氏と2人3脚を組んでいたように見せかけてはいたが、鳩山氏にとって小沢氏の存在は目の上のたんこぶとなっていた。これをより気持ちの通ずる菅氏に、小沢氏と刺し違いすることによって菅新政権の環境整備をして、菅氏に借りを作らせたのではあるまいか。
一方、小沢氏側から間接的に、9月に党代表の任期が終る次回代表選挙では、菅氏以外の候補者擁立を考えているとの声が流れ、対菅戦争が燻り始めている。早くも菅派と小沢派のつばぜり合いが始まった。この国民無視の陰険な争いによって、再び国民に愛想をつかされるようなことにならなければ良いがと思う。
さて、午後東洋経済新報社ビルでJN協会理事である寺前秀一さんの出版記念会が開かれた。寺前さんは昨年10月高崎経済大学教授を辞めて、加賀市長選挙に打って出て当選された。このほど現職市長として著書「観光・人流政策風土記」を出版されたが、国交省に勤めておられたころから観光分野に関わり、大学地域政策学部観光学科でゼミを持たれていた研究成果をまとめられたものである。いま取り掛かっている「そこが知りたい 観光・都市・環境」執筆上参考になりそうである。
過去2回主宰した私の出版記念会とは大分趣が異なり、やや異色にしてアカデミックな試みで、司会者抜きのまま寺前氏は寺前観光論について1時間近くに亘って熱弁をふるわれた。参加者は立ったまま寺前教授?の話を神妙に拝聴するという段取りだった。加賀市は寺前氏誕生の地ではあるが、加賀を離れてからかなり時間が経っているので、土地の雰囲気を理解するのは大変だったようだ。特に、合併市町村の場合は、複数の旧自治体に対して平等な行政を行う難しさについて述べられた。
断片的に話された内容の中で、九谷焼について、本家が伊万里焼であるとの説があるというのは初耳だった。しかし、この本家・分家論については疑問が呈されていて、真偽のほどは現時点でははっきり分らないらしい。