菅内閣が発足した。今度は社民党が離れ民主党と国民新党、2党による連立政権である。新政権は「脱小沢」を主唱しているが、本当に出来るだろうか。昨日の民主党両院議員総会で党役員人事を決定し、了承された。しかし、その場に小沢氏はいなかった。小沢グループの役員は「しばらく静かにして欲しいと菅代表が言っていたので・・・」と問わず語らず漏らしていたが、もうお互いの鞘当てが始まっている。
内閣官房長官に小沢氏と距離を置く仙石由人・前国家戦略相を、党幹事長に一部の反対を押し切って菅首相に近い枝野幸男・前行政刷新担当相を任命して脱小沢色を強く打ち出した。
ところが、昨晩の「ニュースZERO」で村尾信尚キャスターがゲスト出演した枝野氏に政治の透明性について質した。そのひとつは、枝野氏は政治の透明性を主張しながらも、小沢氏の金銭問題に関する証人喚問をはぐらかして、村尾氏から言っていることが矛盾していると指摘された。枝野氏は憮然としながらも、自分は弁護士なので法律は分かる。法的責任の問題には防御権もあり、そのことには一定の配慮をしなければならないと証人喚問に慎重な姿勢を示したことを村尾氏が突いたことを指している。枝野氏は小沢氏の反撃を恐れてか、深く小沢氏を追い詰めるような発言をしていない。更に枝野氏はこれから自分は団体や企業から献金は受けないと、きれいごとを言って透明性について力説していたが、村尾キャスターの言う通り、言うことがまったく矛盾している。
沖縄の首長らは揃って、普天間基地移設について菅首相が日米合意をベースに進めるという談話に強く反発している。辺野古移設は認めないと言い、徳之島の町長は日米合意から「徳之島」という言葉を削ってもらいたいとまで言っている。沖縄にしてみれば、日米合意にはまったく自分たちの意見が採り入れられていない。これが過去から現在に至るまで蚊帳の外に置かれていた沖縄の気持ちである。鳩山前首相は普天間問題をこじらせて職を辞したので、沖縄ではこの問題は仕切り直しだと考えている節がある。一応日米合意は形成されているが、そう簡単には問屋は卸さないのではないか。
そのほか、最大の問題は財政再建だろう。今の借金財政では、早晩行き詰まることははっきりしている。この経済不況下に税収は落ち込み、当然増税が話題になる。妙に気の合う亀井静香・金融・郵政担当相と原口一博・総務相は、経済立て直しのために今すぐにでも必要な財政出動を行う必要があると、国債発行をなお推し進めようとしている。
しかし、与野党とも全般に消費税増税はある程度やむを得ないと考えている。それならもう少し消費税議論や、財政再建について真剣に議論を闘わせて欲しい。
とにかく新政権が船出した。鳩山前首相のようにぶれることなく、国民に約束したことはきちんと守って、実行してもらいたいとつくづく思う。