サッカー・ワールドカップが南アフリカで開幕した。連日開幕前の様子をテレビで放送しているが、今回はどういうわけか、日本国内では今ひとつ盛り上がりに欠ける。その原因として考えられるのは、岡田代表監督のベスト4入りを目指すという当初の決意とは裏腹に、大会前のテストマッチで3戦3敗のうえ、たった1点しかゴール出来なかった決定力不足が期待を高めない原因であろう。
もうひとつの原因として考えられるのは、大会自体より南アフリカの治安問題にあると思う。前回のドイツ大会に比べて地理的にも遠く、治安の悪さが度々報道され、観戦に行くには危険が多すぎるような伝えられ方では、つい二の足を踏んでしまう。1日平均50件の殺人事件があると聞いては、腰が引けてしまうのも無理からぬところである。日本とはすべての面でかけ離れた世界で行われるイベントというのが、馴染みにくいもうひとつの原因だろう。
20年近く前に訪れた時の南アフリカの治安も考えてみると異常だった。ヨハネスブルグ市内の大手商社支店長のお宅に招かれた時、門前でしばらく待たされた。その理由は防犯用に庭内に放し飼いされている猛犬を繋ぎ止めるためであった。これにはぶったまげた。
今日から約2週間の間、毎日13,500kmも離れた地から熱い実況放送が届けられるのだろう。その中で今朝の朝日新聞にちょっとがっかりさせるような記事が掲載されていた。最後のキャンプ地・ジョージにやってきた日本代表チームが、空港で出迎えてくれた現地のファンを一顧だにせず、足早にバスへ乗り込んでファンをがっかりさせたようだ。監督しかり、中心選手の闘莉王しかりで、大勢のファンの期待を裏切った。選手たちはせっかく出迎えてくれた地元の人たちをひどく失望させたようだ。記事については友人のひとりがメールで知らせてくれた。今回の日本チームを応援する気になれないし、期待も出来ないという。確かに記事を読んで感じたのは、チームの仕上がりがうまく行っていないせいか、チームに明るさとか、のびのびしたリラックスムードがないような気がする。
しかし、試合の内容と結果はもちろん重要であるが、考えようによっては、ファンサービス精神とか、選手が備えているべき人間性は、それ以上に大事である。今日のサッカーブームの到来や、日本がワールドカップに出場出来るようになった陰には、ファンから支えられてきた歴史があることは誰でも分っている。そんなことは選手たちも当然承知していると思うが、日本サッカー協会は日本代表チームの監督を始め、全選手に事前にその点を徹底的に確認し、ファンを大事にすることをチームに伝えるべきだった。この様子では今回は日本代表チームに大きな期待はかけられそうもないが、精々無様な試合展開だけは避けて欲しいものである。