昨晩小惑星探査機「はやぶさ」が、7年ぶりに地球へ帰還した。今朝の新聞やテレビでも、そのニュースが大きく取り上げられ、感情移入したのか涙ぐんで解説するテレビ・キャスターもいたくらいである。少々専門的過ぎて打ち上げた意図や、その飛行功績については詳しくは分らないが、7年の飛行と60億㎞の飛行距離には驚かされる。想像も出来ない遥かなる宇宙の果てである。地球から3億㎞も離れた、東京ドーム3個分くらいのサイズの小惑星「イトカワ」へ着陸して、カプセルがそこの砂を採取したらしい。しかも大気圏へ突入する直前に地球の写真まで撮って地上へ送ってくれた。何より凄いと思うのは、何度も故障して一時行方不明になり帰還が3年も遅れたうえに、一度途切れた通信機能を再び回復して電波を地球へ送ってくれたことである。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のスタッフの辛抱強い努力が実ったと言えよう。
これから回収されたカプセルからどんな新事実が解明されるのか期待が膨らむ。昨日オーストラリアの砂漠に落下する前に大気圏へ突入した画像を観ていると、その後「はやぶさ」が流星を引っ張るように飛行して分解した。だが、カプセルはそのままパラシュートを開いて無事着地した。素晴らしい光景を映し出してくれた。久しぶりに宇宙の素晴らしさを画面から教えてくれたように思う。カプセルは直径30㎝、高さ15㎝、重さ6㎏の小さなものだそうである。
それにしても月以外の惑星へ到達して戻ってきたのは、世界で初めての成果で、最近やや落ち目と見られていた日本の宇宙航空技術の高い水準を、改めて世界に知らしめた点でも特筆ものである。
ワールドカップの大騒ぎの陰で地味ながら、こういうロマンのある科学技術が日本の存在感を示してくれたことを誇らしく思い、深い感動を覚えた。
ふっと別の「隼」を思い出した。言わずと知れた大東亜戦争で活躍した陸軍航空隊の戦闘機「隼」である。飛行第64戦隊(加藤隼戦闘隊)の皆さんと何度もビルマへ慰霊巡拝に行ったものだが、その中心だった皆さんはすでにほとんど亡くなられた。初めてビルマを訪れてから早くも40年が経つ。この慰霊団が縁で国家事業である戦没者の遺骨収集事業を長年に亘ってお手伝いさせていただいた。これも私にとってはロマンを感じさせてくれる旅行だった。