1129.2010年6月16日(水) 岸井成格氏講演会と60年安保写真展

 久しぶりに「ふるさとテレビ」の月例セミナーに出席した。国会議事堂裏の憲政記念館で開催されたセミナーで、毎日新聞特別編集委員・岸井成格講師が「波乱の政局を読む」と題して1時間余に亘って持論を分り易く解説された。長年政治部記者として取材に当たられていただけに、政治の内部事情に詳しい。政治勘に勝れていてあまり知られていない興味ある話も数々された。

 そのひとつはサッチャー・イギリス首相が来日された時、並み居る日本の首相経験者を前に、首相の資格に関する質問に応えて、サッチャー首相は日本の首相資格についてイギリス人に聞くほど、日本には国家のリーダーたるべき人材はいないのかと逆質問をして、オーバーな表情で嘆かれたという話である。

 もうひとつは、最近中国政府がアメリカ政府に対して、全アジア・太平洋海域の安全保障のために、東太平洋をアメリカが、西太平洋は中国がコントロールしたいと秘かに申し出たそうである。そのためには、南鳥島が日本領土であるのが邪魔であるとか、なぜ日本領なのかとか、沖縄近海の公海が狭くて沖縄諸島が気になるような話をしたらしいが、今更ながら法衣の下に鎧を着た中国の覇権主義がミエミエで、中国が経済成長に乗って何でも事が通ると思っているその傲慢さには嫌悪感すら憶える。

 中々歯切れの良いスピーチだったが、岸井氏は今月24日には、毎日新聞社編集主筆になられるそうで、これから毎日新聞紙面編集の全責任を負っていくことになる。一時大腸がんを手術されたようだが、お見かけしたところお元気そうなので、益々の健筆を期待したいと思う。

 セミナーを終えてから早稲田大へ行った。明日まで「60年安保50周年記念行事」の一環として大隈記念タワーで報道写真展が開かれていることを知ったからである。早大キャンパスを訪れたのは、早大受験の時以来ほぼ半世紀ぶりである。街と大学キャンパスが融合しているような印象を受けた。展示写真はそれほど多くはなかったが、それでも懐かしいものが大分あった。当時の新聞と記念雑誌が興味を惹いた。スペース中央部では、安保闘争の流れについてビデオが放映されていたが、樺美智子さんの死とアイゼンハウアー大統領のハガチー新聞秘書来日騒動、そして強引な手法で安保を成立させた国会の様子などが懐かしいものだった。

 それにしても、当時の学生は現在に比べると服装はほとんど学生服で地味そのものであるが、信念とか行動は迫力があった。それに現代のように植物系で無機質な学生はほとんどいなかったように思う。

 エレベーターで一緒になった同じような年頃のおばさんは、今の学生はだらしないとしきりに嘆いていた。

 夜テレビ朝日で池上彰の「学べるニュースSP!」を観ていたら、ラグビー誕生についてデタラメを言っていた。結構役立つ番組で真面目な取材をしているし、いつも池上氏が分り易い解説をされるので、楽しみに観る番組のひとつであるが、最早ラグビー通の間では定説となっているラグビー誕生のユニークな話があまりにもお粗末なエピソードに創り上げられているのには驚いた。大した取材もせず、よくもこんな嘘っぱちをでっちあげるものだと呆れ返ってしまった。返事はないと思うが、とりあえずTV局にメールで注意してやった。

2010年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com