1130.2010年6月17日(木) 江戸城復元図完成報告会

 江戸東京博物館でNPO法人「江戸城再建を目指す会」主催による「江戸城寛永度天守『復元図』完成報告会」が開かれた。しばらくぶりで会の催しに参加したが、小竹直隆理事長の情熱的なリーダーシップと、スタッフの周到な事前準備で報告会は成功だったと思う。

 城郭建築の研究家である三浦正幸・広島大学大学院教授が「寛永度天守はこんなに壮大で、美しい姿だった!」と題して、幕府大棟梁が遺した江戸城寛永度天守絵図について、他の安土城、大坂城、姫路城、名古屋城、宇和島城の立面図と比較しながら、その大きさや特徴等を分り易く説明された。

 引き続いて照明デザイナー・石井幹子氏が「夜空に照らされた江戸城―東京の新ランドマークをつくろう」のテーマの中で、夜の照明効果について、更に諸外国に比べて日本の都市には観光の目玉がないので、仮に江戸城を東京湾岸にでも作れば夜景が美しく、観光地化が期待出来ると話された。だが、これは後段のシンポジウムで、小竹理事長が江戸城再建場所はオリジナルの天守跡地でなければならないとはっきり断言された。

 その後両氏に加えて大田道灌公第18代子孫・太田資暁氏と、日本総合文化研究所代表・西川壽麿氏が参加され、小竹理事長がコーディネーターとなって「江戸城が再建されたら日本は甦る」というテーマでシンポジウムが行われた。この中で三浦教授の日本文化におけるオリジナル性と木の文化の観点から、元の天守台へ再建するのが望ましいとの主張が説得力を持っていた。結論は木造建築により往時の姿で復元したいとの声に集約された。

 小竹理事長の巧みな司会進行で、ユーモラスに時間の配分もよく、楽しい雰囲気の内に、江戸城再建の声を盛り上げていった。

 印象的だったのは、多くの参加者が三浦教授の専門的、かつ学術的な話に引き込まれていったことである。特に、再建に当たっては1割方の人はオリジナルの木造建築よりコンクリート製を望んでいるようだが、その前提として恐らく耐久性の理由で木造建築よりコンクリート製を選択しているのではないかと推測される節がある。しかし、城はしばしば改築、再建されることもあるので、材料の再利用や、本当の意味での耐久性、材質の過重負担、室内の雰囲気、林野庁の国有林内に城郭に適した建築材が植林されている点などを考慮すると、むしろ木造建築の方に利点が多いと説明されたのは意外で、これまで考えていたこととはむしろ反対だった。それにしても三浦教授の明快な説明には頷けるだけの説得力があった。

 最後にCGによる再建江戸城の雄々しい外観の姿と、日本文化の伝統的な奥床しさを見ていて感動を憶えた。とりわけ内部の廊下周りと畳の和室を見ていると木造建築以外では意味がないと感じた。

 江戸東京博物館第1ホールは定員450席だそうだが、参加者が溢れ出て530名の方が来られたそうである。前途は遙遠であるが、皆さんの気持ちが盛り上がっているので、江戸城再建目指して小竹リーダーの下に前進するのみである。

 今日はメディアの取材も多かったようで、早速18:15からNHK「首都圏ニュース」で放映され、(後で録画を観ると)小竹理事長がインタビューに応えられていた。懇親会には着任間もない溝畑宏・観光庁長官も出席された。民間にもおられた経験があるので、本プロジェクトの主旨を充分理解され、観光振興の大きな仕掛けとして捉えていただき、早速パフォーマンスを示され気合を入れておられた。

 これから組織内部の声を一層盛り上げて、念願成就のために国民運動にまで広げていく強い意思と心構えが必要であるが、とりあえず経過報告会としては素晴らしく盛り上がったイベントとなり感動した。

 何とか生きている内に、ライトアップされた江戸城の格調高い姿を拝んでみたいものである。

2010年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com