1132.2010年6月19日(土) 消費税10%へ値上げか?

 一昨日菅首相が来月の参院選のマニフェスト発表に当たり、消費税を(自民党が打ち出した)10%に上げることを参考に議論の対象にしたいと語った。増税分は社会保障費に充てる考えを示唆した。早くも党内外に波紋を呼んでいる。

 ここで一番問題なのは、昨夏の衆院選では向こう4年間は消費税を上げないとマニフェストで約束したことである。世論調査によると消費税値上げに関しては国民からはかなり理解が得られているようだ。それもこれも過大な赤字国債発行により、財政危機が叫ばれ、一方ではバラマキと揶揄される支出増大で将来に対する不安から、消費税値上げも已むなしとみられたからである。にも拘らず、いとも簡単に公約を破り一気に10%という消費税率へ話を持っていったことには、問題が残る。

 この時期に消費税10%をぶち上げた根拠には、来週カナダで開催が予定されるG8サミットで、増税で財政再建を訴えれば各国首脳の理解が得られるとの狙いがあるようだ。

 いずれにしても消費税値上げはある程度理解出来る。ただ、それには決定のプロセスに問題があった。決定と公表に至る前に充分議論を戦わせ、その過程が国民に伝えられ、了解を得られることが必要だった。時間の関係もあるかも知れないが、その辺りの過程を手抜きした印象が拭えない。

 それが証拠には、一応閣僚了解事項と言いながら閣内から小沢氏に近い原口一博・総務相の如きは首相とは一線を画す構えのようだし、山口正彦・農水相も納得していない様子である。民主党内では小沢一郎・前幹事長に近い党員は同意していない。首相には参院選までに党内を統一見解でまとめる必要がありそうだ。

 自民党は自分たちが打ち出した10%という線を、菅首相が唐突に言い出したことに対して、盗人猛々しいみたいな発言をする下品な役員もいる。同じ10%の中身について堂々議論すれば良いではないかと思うのだが、どうもお互いに低次元のライバル意識むき出しである。

 連立を組んでいる国民新党は反対、社民党も反対、共産党はもちろん反対で、結局民主党の消費税率値上げに対して素直に賛成を表明したのは、元々増税論者だった「たちあがれ日本」代表の与謝野馨氏だけである。

 しかし、赤字が溜る一方の国家財政を考えると、漸く増税に対する議論が持ち上がったことは佳しとすべきである。与野党それぞれの税制論を主張して参院選を戦って欲しい。

2010年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com