3176.2016年1月23日(土) 作家加賀乙彦氏との出会い

 ここ数日の間、今日から明日にかけて最強の寒波襲来があるので厳重警戒が必要との気象情報が流れている。先日都内でも今年初めての積雪があったが、今度の寒波は冬型の気圧配置が強まり北陸と西日本を中心に大雪が降りそうだという。

 先日の積雪の際は、国交省の行政指導もあり、各鉄道各社が乗客には知らせないまま電車の間引き運転をやって列車運行が減り駅が混雑し、駅構内には人が溢れて入場出来ない乗客が道路上に行列を作る騒ぎとなった。流石にその時の反省で考え直したいと述べていた鉄道会社は、明日から明後日にかけて雪対策としてどういう秘策があるのだろうか。

 それにしても今日は朝から寒く、暖房をワン・ランク上げている。

 さて、今日の日経夕刊に1頁の1/4以上のスペースを割いて、「古典から学ぶ」と題した作家・加賀乙彦氏へのインタビュー記事が載っている。加賀さんと言えば、衝撃的で印象深い思い出がある。

 あれは昨年6月如水会館で開かれた日本ペンクラブ総会終了後に、同じ神田神保町の学士会館へ場所を移した二次会でのことだった。偶々私は加賀さんと隣り合わせになった。自己紹介旁々初対面の加賀さんに「乙彦」という珍しいお名前の謂われを尋ねたところ、ムッとされて「あなたは私の本を読んでいませんね」と言い「私の本にはすべてどうしてこの名前になったかが書いてあります」とご機嫌斜めなまま、会話に入ることになった。ご自分の作品を読んでいない人とは話は合わないと仰る感覚の人で、最初のうちは不機嫌そのものだった。次第に打ち解けてくれ、書名の決め方とか、拙著で酋長という名詞を避けたことをお話しすると「酋長が差別用語だとは思わない。そう言われても無視すればいい」と仰り、拙著のあらすじを説明すると興味を持っていただいた。特に書名は短かくないとダメだと仰り、ご自分の一番売れた作品が「宣告」だと言われた。

 夕刊では、「日本の古典文学に登場する言葉には時代を超える普遍性があり、日本とは何かを考えるヒントになる」とも、「日本の古典は意味不明でも原文を声に出して読めば伝わるものもある」とも仰っていて成るほどと思った。多くの作品を世に出され、高い評価を受けておられるが、東大医学部卒の医師で、数々の文学賞も受けておられるので、どうもエリート意識が強いようだし、近年奥さまを亡くされてから少々我儘になったような印象を受けた。

 小中陽太郎さんが「近藤さんが加賀さんを怒らせた」などと冗談半分に話しておられたが、そのくらい気が短い人だったような印象を受けている。

 夕刊の記事からは、性格的なことは汲み取り難く、むしろ日本の古典文学について蘊蓄を傾けたインタビューになっていて、日本文学者のイメージに溢れ、昨年お会いした時の尖ったような面影は感じられない。

 それにしても、昨年の出会いは思い出深く不思議なものだった。偶然お会い出来て、お話し出来たことを今にして幸運だったと思っている。

2016年1月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com