福岡市内のNPO会館で「世界遺産150ヶ所を訪ねて」と題してお話した。参加者は25名ほどで年配者が多かったが、皆さん熱心に聴いてくれた。反応はまずまずだったと思う。
ちょうど福岡市立博物館で福岡を舞台にした日本と中国大陸及び朝鮮半島との交流に関する歴史展を開催していた。担当者は私がきっと興味を抱くのではないかと思って講師に推薦してくれたので、終ってから博物館へひとりで出かけてみた。
一番興味があったのは「奴国の時代」と証する展示で、初めて「倭奴国王の金印」と称する本物の歴史的お宝を拝見することが出来た。高校時代に日本史教科書で、金印の写真を見てから今日まで、大げさに言えば忘れたことがない歴史の証印である。本物と聞いて驚いた。いま執筆中の共著の中でもこの金印について触れている。会場は学術的で地味な催しのため、惜しいことに見学者が少ない。しかし、反って係員が丁寧に説明してくれた。福岡県の志賀島という小さな島で発見されたもので、その金印のあまりにも小さいのには意外な感がした。一辺の長さが2.3㎝、高さ2.2㎝、重さが108.7gでほぼ純金で作られている。早速実物大のレプリカを購入した。
その他にいくつかの展示があったが、ある別室でささやかに「戦争とわたしたちのくらし」と称する展示会を開いていたので覗いたら、戦時中の数々の記念品を展示してあった。そこに説明があった「大詔奉戴日」という記念日があったことを寡聞にして知らなかった。何でも「戦地の兵士の労苦を偲び銃後の守りを固める決意の日」というのだそうである。昭和14年から16年まで毎月1日に制定されていた「興亜奉公日」というのが、大東亜戦争開戦直後の17年1月以降、その記念日が毎月8日に名前と一緒に変わったようだ。
福岡の伝統的な行事や、貝原益軒ら昔の福岡出身の偉人に関する展示も案外面白かった。
さて、大揉めの大相撲がぐじゃぐじゃである。日本相撲協会生活指導部長で協会の窓口として度々会見に顔を見せていた陸奥親方が賭けゴルフをやっていたとの上申書を提出した。このざまは一体何だ?と言いたい。理事、親方、現役力士らが、どっぷり相撲ではなく賭けに浸かっていたと知らされては、開いた口が塞がらない。過去のスキャンダルの対応例から考えても、相撲協会の自浄能力を疑わざるを得ない。今や次の名古屋場所が果たして開催可能出来るのか危うくなってきた。
来月4日に臨時役員会が開かれ、名古屋場所開催について結論を出すらしい。しかし、今月28日には番付も発表するようだから、その後の開催不可となったら番付はどうするのだろうか。まったく人騒がせな相撲協会と恥辱に塗れた力士たちである。