1146.2010年7月3日(土) 菅首相、消費税発言の無責任

 数日前菅首相が唐突に消費税の値上げを口に出したが、それに口裏を合せるように民主党内外から異論・反論が噴出して後始末に追われている状況である。どうも選挙前に不利な発言をするとあまり得策ではないように思えるが、そこには菅首相独特の深謀なる作戦があるらしい。つまり、最大野党の自民党がすでに消費税10%へ値上げを打ち出しているので、敢えて戦争を仕掛け、自民党と同罪、或いは相討ちを仕掛けたということのようだ。ところが、その後反対の空気が強く参院選に影響すると思ったのか、不意に消費税値上げとセットで低所得層には還付を行うと遊説先で切り出した。それが、行く先々で首相がしゃべる還付の対象者がばらばらなのだ。年収200万円以下の家庭と言ったかと思ったら、別の都市では250万円、300万円、350万円、400万円と勝手に話している有様である。

 菅首相に伺いたい。あなたの消費税に関する持論を1度全部きちんとお話しなさいと。発言はしっかりした制度設計に基づいたものでないし、あまりにも単なる思いつきではないか。これでは、試算する方も大変である。還付の対象者のことを含めて首相の消費税に関する考えがよく分らない。首相周辺もよく分らないようだ。いつ何をしゃべるか分らないので、みんな右往左往して振り回されている。ついに昨日の朝日「天声人語」に、あまりにも首相は軽いと書かれていた。

 急に消費税が話題になり出したが、いずれにしろ参院選後には民主党も公に消費税議論を始めなければならないだろう。最近メディアでも日本以外の国々の消費税に該当する税について紹介するようになった。先進国の中では日本の現在の消費税5%というのは、格別に低い。中国は17%、韓国ですら10%で還付なんて優遇制度はない。ヨーロッパ諸国に至ってはほとんど20%を超えている。重税感はもちろんあるだろうが、国民に充分説明して納得を得られていると思うのは、例えばスウェーデンの25%の高税率である。子どもの教育費が大学生まで無料であり、医療費もほとんどかからないので、国民は納得し現状にほぼ満足している点である。

 それに比べてわが国では、求めることばかり多く、支払うことにはあまり前向きではない。菅首相の言い方は、低所得層には辛い逆進税の消費税を上げさせてくれれば、見返りに低所得層だけにお返ししましょうと言っている。だが、仮に年収400万円未満の世帯に軽減策を実施すると増税分がほとんどなくなると言われている。これでは話が元に戻ってしまうのではないか。こういうパフォーマンスを「大山鳴動鼠一匹出ず」というのか、「元の木阿弥」というのか、「時間の無駄」と言うのだろうか。

 菅さん、もう少ししっかり腹を据えて取り組め!

2010年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com