昨日に続いて消費税論をひとつ。昨日の朝日新聞トップ記事は、「消費税 首相発信続く」と題して8段の大きな扱いである。それによれば、自民党の10%の消費税導入に対して、民主党が同じ10%をひとつの目安にするということから、参院選の争点つぶしが狙いだったと書かれている。ところが、基礎年金、老人医療、介護などの社会保障費に充てると考えられていた消費税値上げ分に、今問題となった「財政健全化」の改善を追加するとなると、消費税を10%上げたぐらいではとても足りないらしい。
菅内閣は先月閣議決定した「財政運営戦略」で、国債の元利払いを除いた単年度の支出を借金なしで賄う「プライマリーバランスの黒字化」を2020年度までに達成する目標を掲げた。このためには2012年度から消費税を毎年2%ずつ15%まで引き上げる必要があるという試算結果が出された。
やれやれである。世界では20%の消費税が通り相場となっている時に、日本では5%から10%に上げることに賛否両論があり、そのために政党同士で角突き合わせている状態である。ここへ来て漸く10%への値上げが議論されるようになり、参院選の焦点となった。それが、10%へ上げることに賛否があり、何とか反対論を説き伏せて実行するにしても、その背後に更に5%の上積みが検討されかねないとは、何とも肩の力が抜けてしまう。
それにしてもどうして背後にある5%を表に出して論争しないのだろうか。内閣府では元々10%ではダメだということが分っていたらしい。
どうも政治家と官僚には、隠蔽体質があるようだ。しかし、こんな騙しあいのようなことは、マス・メディアも嗅ぎ取っている筈だ。メディアも卑怯である。これだから、ジャーナリズムが寂れるわけである。
さて、今日大相撲による野球賭博の処分が下された。大関琴光喜と元関脇の貴闘力(大嶽親方)が解雇ということになった。ほかに11日から始まる名古屋場所の謹慎力士が19名である。武蔵川理事長の部屋から謹慎力士が出たということで、理事長も謹慎となり、理事長代行としてわが自宅近辺の法務省宿舎に住んでおられた村山弘義・元東京高検検事長が務めることになった。これも、外部の有識者が望ましいとの文科省の指導によって急遽決まったものである。
初めて外部の人物が協会トップに座ることに対して、一部親方の間から力士の名もうろ覚えの外部の人間が場所中のすべての行事を取り仕切るのは無理だと冷ややかである。相撲界の人間だけですべて事を運びたいとの本心がミエミエである。こんな気持ちでは相撲協会の浄化作業は進まないし、このままなら再び同じ事態を惹起させるのは目に見えている。
相撲が消えるのは惜しいが、1度国の助成を止めてみてはどうか。世間知らずのお相撲さんがどれだけ世間に伍してやっていけるか、思い知った方が良いのではないか。