このところの炎暑で熱中症により亡くなる人の数が増えている。かつてはメディアの情報でも熱中症対策なんてあまりなかったと思う。それが微に入り細に入って、どうしたら熱中症を防げるかという話で、水分補給と併せて塩分を摂るようしきりにアドバイスしている。ただ水分を摂るだけでは、体内の塩分が薄まって不足するので、必ず塩分補給も欠かさないことが必要だと、繰り返し説明している。こんなくどい塩分補給の話はこれまで聞いたことがないので、水分不足に加えて塩分欠乏で熱中症にかかる人がいかに多いかを表しているといえよう。
その暑い中を今朝早く、神田川の川巡りに出かけた。「江戸城再建を目指す会」の鈴木武朗さんから熱心なご案内をいただき、JR浅草橋駅傍の浅草見附から神田川を遡り御茶ノ水から水道橋へ出て、日本橋川、そして隅田川を佃島から墨田公園前を回って浅草見附まで約2時間の船の旅だった。30人近い鈴木ファンと、「神田川船の会」委員長林さんの名解説で、目から鱗の珍しい話に興奮した。
面白かったのは日本橋川に入ると、そこはまさに高速道路の屋根の下を滑るように走る。われわれの乗った船は屋形船だと考えていたが、そうではなく屋根がなく、今日のような快晴下では汗びっしょりだったが、幸い鈴木さんの事前の「傘持って来て」のアドバイスで、熱中症から逃れることが出来たが、高速道路の下は格好の屋根となり、吹いてくる風も心地よく快適だった。
皆さんは江戸の文化を守りぬくという一点では、かなりご熱心なので、日本橋の象徴をぶち壊しにした「サマにならない」高架には不平タラタラであるが、偶々今日はその日本橋の「白寿」ということから橋の上では地元の人たちが大掃除をしていたようだ。その橋上から手を振ってもらった。
日本橋川には数箇所江戸時代の石垣がそのまま残されている。林さんの説明を聞くと積石の中には、藩の名が彫られているものがある。島津藩の○に十の字の藩の刻印が目立った。江戸の歴史に思いを馳せながら静々と船は進む。
途中御茶の水の辺りが濁っていて臭い感じがしたが、数年前には漸く水が澄んできて鯉が泳ぐようになったのを駅のホームから目撃していたので、その汚れに意外な感じがした。ちょっと残念だなという気がしていたが、水道橋辺りにまで上がってくると徐々に水が綺麗になり、匂いもしなくなった。折角清浄に成りかけている川をもうこれ以上汚さないようにしてもらいたいものである。
それより川のギャングというか、船が走っている隣を後ろから追ってきた水上オートが、何台も何台も旋回しながらスポーツ感覚で追い抜いていく。若い彼らは楽しいだろうが、側にいる者にとっては危険極まりない。林さんによるとこういう水のカミナリ族は、近い内に新条例で追放されるということだった。どこにも傍若無人で、他人に迷惑をかける馬鹿者がいる。
陸へ上がってから隣の屋形船内で、てんぷらを中心にした美味しい食事をいただいた。サックスの演奏あり、自己紹介を兼ねてお話ありで中々楽しかった。元産経記者の佐々木嘉信さんから著書「刑事一代」をいただいた。私も一言挨拶がてら、「知の現場」の宣伝をして再び暑い中をいささか疲労を憶えながら帰ってきた。