1171.2010年7月28日(水) 死刑制度は議論を提供するか。

 今朝死刑囚2人の死刑が執行された。昨年7月以来1年ぶりである。今回の処刑は何もかも異例である。

 千葉景子法務大臣が、法相として初めて執行に立ち会ったことにまず驚いた。法相は先日の参院選で現職ながら落選して、現在では民間人である。そのうえ元々法相は、死刑廃止議員連盟のメンバーで、心情的には死刑執行に反対の立場にあった筈である。当然ながらいくつかの疑問が呈されている。興奮したある議員の如きは、部屋の中で冷房と暖房を同時に使用しているようなものだと気炎を上げている。

 記者会見でも、報道番組でも質問者が、選挙に落ちて暫定的?大臣が、まもなく辞める前に、執行命令を出したのは問題であると尋ねたり、また仙石官房長官にしても期限前だから問題はないと答えたり、些かピントがずれており、党内外でもトンチンカンな議論が出て喧々諤々である。実は、法相は参議院議員としての議員期間が切れる今月25日の前日に命令書に署名していた。これに対して駆け込みという声が一部にある。これもナンセンスである。

 法相は法務省内に勉強会を立ち上げ、死刑制度の存廃を含めたあり方を検討したい意向を持っている。だが、それならもう少し時間をかけて執行と勉強会は別途に考えるべきではなかったかという気がする。それにしてもこの件に関して、暫定的な大臣とか、議員でもない大臣が云々との発言が聞かれたし、仙石氏のように、大臣かつ議員としての正当な権限行使のような発言があったが、まったく不勉強であり、憲法をよく知らないのではないか。

 憲法第68条には、国務大臣の過半数は国会議員でなければならないと条文に書かれている。つまり半数近くは民間人でも良いし、現実にこれまで民間人で大臣を務めた人は、数えられないほどいる。直近では、増田寛也・元総務相や竹中平蔵・元金融担当相がそうだった。その点では、落選した千葉法相がそのまま大臣の職に就いているのは決して異例でもおかしいことでもない。だからこの点で法相の資格や、行為を糾弾するのはおかしい。

 大臣職にいることがおかしいと詮索するより、死刑制度を真正面から捉えて議論すべきではないか。その点では、駆け込み執行の印象を与えた今回の処刑は、被害者の遺族の気持ちは理解出来るが、些か性急に過ぎたのではないだろうか。

2010年7月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com