中国の経済発展は目覚しく、今年中に国民総生産では日本のそれを追い抜くことはほぼ確実視されている。日米欧が不況の真っ只中にいるにも拘わらず、ひとり勝ちの様相である。一昨年の北京オリンピックに続く今年の上海万博開催に至って、益々勢いがついている。「向かうところ敵なし」の感がある。
近年になって中国自体がその経済力をバックに大国として、国際社会で発言力を強めている。すべてが中国にとって万々歳のように見える。実際には、言論弾圧と情報管理により、貧富の極端な格差や農村の貧困などの恥部が外部へ流れることを封殺している。国民の自由が抑圧されているのは明らかで、いつ国民の不満が爆発するか予断を許さないのが実情である。
その「行け行けドンドン」の中国で、商業銀行が地方政府系企業に対して実施した融資のうち、借り手の返済能力や担保などに問題がある債権が、約19兆5千億円にのぼることが明らかになった。もし、景気減速などで不良債権化すれば銀行システムへの打撃が極めて大きい。いよいよ氷山の一角が崩れることになるのか。そうなれば中国経済全体にとって大きな影響が出る。これまでのように、そういつまでも好景気を謳歌しているわけには行かなくなりそうだ。
さて、記録的な猛暑に襲われているロシアでは、森林や泥炭の火災がロシア西部で拡大を続け、首都モスクワは最悪のスモッグに覆われている。モスクワ周辺の各空港では視界が悪く航空機の発着にもかなりの影響が出ている。アメリカや欧米各国では、旅行者にモスクワ周辺への渡航を差し控えるよう警告を出した。
懸念されているのは、旧ソ連時代にウクライナで起きた原発事故で汚染された森林を抱える地方では、仮に汚染地域に延焼すれば、放射性物質が大気中に拡散する恐れがあると伝えられていることである。想像も出来ないことがあるものである。それにしてもロシア西部だけで、577箇所の火災が発生しているというから驚く。日本でこのような山林火災が起きたら、大参事となるだろう。その点で言えば、国会で政治ゴッコをやって遊んでいられるだけでも日本の政治家は気楽な稼業と言えるのではないか。