3181.2016年1月28日(木) TPPの交渉人・甘利大臣辞任

 先週発行の「週刊文春」で、千葉県の建設会社総務担当者から金銭授受の疑惑を報道された甘利明・経済再生担当大臣が、今日夕刻の記者会見で経済再生担当大臣の職を辞すると表明した。今回の疑惑は金銭授受が暴露されたケースとしては、これまでのケースとはやや趣が異なっていた。全体像が不透明のうえに大臣のこれまでの説明もやや歯切れが悪かった。疑いは残ったが、これと決めつけることが出来ない不鮮明な事件だった。大臣自身首を傾げていたが、大臣と当該の人物が会った際の録音や映像が残っている点などから、大臣や自民党幹部の中にも大臣は嵌められたのではないかと感じた人もいたようだ。

 それはそれとして、大臣本人は参議院本会議で自らの説明責任を果たし、与えられた職務を遂行すると語っていたが、最終的に受け取った金銭に関する秘書の不手際について、監督責任を取る形で辞める決断をした。大臣自身もお金を受け取っていたことを認めた。いつもながら金銭問題で辞任するケースには理不尽で、不透明な印象が付きまといどうもすっきりしない。

 甘利大臣は安倍総理に辞意を申し入れ総理は受け入れ、後任に石原伸晃氏を任命した。

 国民としては今後原因の解明を期待したいところだが、謎深い行動をした建設会社の担当者に対するメディアの追及も激しくなるだろう。現在開会中の国会審議が停まりかねない状態から一段落はすれども、政局の停滞は免れないだろう。

 安倍内閣発足後、これまでに任期途中で辞任した閣僚は、小渕優子経済産業相、松島みどり法相、西川公也農林水産相に次いで4人目である。安倍内閣としては、彼らの辞任に比べて甘利大臣の辞任は、漸く合意して最終段階に入ったTPP交渉がいよいよ仕上げ段階の時期にあるだけに厳しい選択である。長い時間をかけて漸く関係諸国との間で何とか折り合いがつき、近いうちに契約、発足の時が近づき、それまで再三難しい交渉に当って苦労された甘利大臣としては、身から出た錆とは言いながら、無念で最後まで結末を見届けたかったであろう。

 それにしても、毎度政治家の金銭授受疑惑問題を聞くたびに、またかとの呆れた印象を受ける。今回もまた同じ轍を踏んだ。

2016年1月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com