3356.2016年7月21日(木) トルコの強権化ヒートアップ

 先日クーデター騒ぎを起こしたトルコでは、運よく反乱軍の魔の手を逃れた強権エルドアン大統領が、予想された通り少しずつ締め付けを強めて来た。海外諸国から統制を強化することに自制を促されているが、この先大統領はどんな手段で反対派を抑え込もうとするだろうか。

 すでにクーデター未遂を口実に、その黒幕と見ている大統領の宿敵・ギュレン師の息のかかった組織、人物を排除しようとしてトルコ国内で5万人規模の公務員らを解任した。同時に1999年からアメリカ国内で亡命生活を送っているギュレン師の身柄引き渡しをアメリカ政府に求めている。そしてそれが日本にも影響が表れてきた。昨日メリチ・トルコ駐日大使は、ギュレン師に関わりの深い学校や教会が日本にもあり、日本政府に活動停止を求めたと公表した。あらぬとばっちりでなければいいがと願う。

 トルコの反政府派一層の動きは、勢いを増している。日本時間今日エルドアン大統領は、トルコ全土を向こう3か月間の非常事態を宣言した。現憲法の下で政治的象徴として権限が限られている大統領が、非常事態を宣言することによって強権を合法的に手に入れられることから益々対抗勢力を追放する動きを強めるのではないかと懸念される。

 トルコからギュレン師の身柄を要求されているアメリカでは、今開催中の共和党全国大会で19日異端児ドナルド・トランプ氏が正式に共和党の大統領候補に決定した。これまでの予備選挙でもとかくの話題を提供してきた共和党は、ここでもこれまでの党大会では見られなかった内輪揉めを露呈した。党内の対立がただならぬ形として共和党の重鎮、ブッシュ元・前大統領父子、前回大統領候補のロムニー・マサチューセッツ州知事らが欠席し、会場にはブーイングが吹き荒れ党が割れた状態をさらけ出した。会場内でも反対する代議員が異議を唱えたり、そのうえトランプ氏登場の折には使用を許可されていないバンドの曲を流したり、またトランプ夫人のスピーチがオバマ大統領夫人の盗用と散々の状態だった。大統領候補を決定する大事な党全国大会であるにも拘わらず、党内調和が見られず、あまりレベルも品も高いものとはならなかった。

 これで恐らく民主党のヒラリー・クリントン候補と争うことになるだろう11月の大統領選出の本選では、残念ながら過去のアメリカ大統領選では見られなかった低次元の選挙戦となりそうだ。国際的にも過去に最も人気も信頼感もないアメリカ合衆国大統領の誕生となることだろう。

2016年7月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com