アメリカ大統領予備選を前に最後の共和党テレビ討論会が一昨日アイオワ州デモインで開かれた。フォックス・ニュース社の主催だったが、現在共和党内で最有力候補者の実業家ドナルド・トランプ氏が、司会者である女性人気キャスターのメギン・ケリーさんと昨年衝突したことを理由に、彼女を忌避する行動に出て討論会に欠席するというとんだ茶番劇となった。では、トランプ氏はどうしたかと言うと、近くの会場で同じ時間帯にひとりで気炎を上げて演説会を行っていた。
最近日本でも出廷しなければならなかった裁判所へ無断で欠席し、次回裁判では拘引されて無理やり出廷させられたふざけた元県会議員がいた。しかし、仮にも世界中の注目を浴び、責任の重いアメリカ大統領選挙において、司会者が気に入らないからと言うだけの理由で討論会を欠席するなどその行動は極めて幼児的であり、選挙民に対する責任感もなく言語道断であると思う。こういう人物が、例え経済センスは優れているにしても果たしてアメリカ大統領として適任なのかどうか、大いに疑問である。この人はこれまでも物議を醸す発言を行い、一部で強く顰蹙を買っていた。その厳しく非難されるべき発言は、移民やイスラム教徒に対する侮辱である。イギリス議会では、トランプ氏の入国を禁止するとの議案まで成案しそうだった。仮にトランプ氏が次期アメリカ大統領になっても入国を拒否する国が増えるだろう。これでは国際的重要事項がまとめられる可能性が確実に減る。こういう人をアメリカ人は許容するのだろうか。それこそアメリカ国民にとって恥ずべき人物となる可能性が高い。
討論会では他の候補者は、トランプ氏を欠席裁判に見立てて、徹底的に非難口撃したようだ。
しかし、不可解なのはこのような破天荒な言動を繰り返すトランプ氏への支持が下がらないことである。日本とは選挙制度は異なるが、仮に日本にこのような人物が現れたら果たして日本人だったらどういう反応を示すだろうか。