世界各地で繰り返されている血なまぐさい事件に目を向けている一方で、14日告示された東京都知事選がこの暑い中を21名の各候補者の間で厳しい闘いが行われている。まだ投票日まで2週間ばかりあるが、昨日メディアの世論調査の結果が発表された。それが意外な結果だった。もちろんまだ誰に投票するか決めていない人が多い中で、現在の数値や傾向がそのまま推移するものではないが、それでもひとつの目安にはなる。
その目安としてリードしているのは保守分裂選挙の主役である小池百合子・元防衛相である。それを野党4党が共同推薦したジャーナリスト鳥越俊太郎氏が追い、やや遅れて追っているのが与党自民・公明党推薦の増田寛也氏だというから些か驚いた。この3人の中では、後塵を配すると予想していた小池氏がフロント・ランナーとは、都民の判断はまさにこの真逆だと思っていたので、あまりにも意外な結果に何がそうさせたのか考えてしまった。勝手な見方かも知れないが、私個人としてはこの3人の中で小池氏が一番都知事には不向きだと思っている。いずれにせよ、これから選挙戦がどう推移するのか、小池氏の言動を中心に他の2人の行方を注視したいと思う。
さて、ネット報道によると中国の国家負債額がGDPの2.5倍に達すると政府系シンクタンクが発表した。財政事情が苦しい途上国と一部の先進国に打ち出の小槌で後から後へと支援、投資に手を貸し、これまでその見返りに自らの言い分を呑ませる援助外交を続けてきた。それが経済大国・中国も一皮剥けば台所は苦しいということが露呈されたのである。
実際最近下された南シナ海における中国が主張する領海を認めない国際仲裁裁判所の判断も、国際的な基準から見れば明らかに違法であるにも拘らず、無法な中国に対して強く言えなかったり、同情的な姿勢を示した国々は、中国から投資を受けていた国々が多い。ところが、その成金大国・中国がこのままの財政事情であれば、危険信号が点灯することもあり得る可能性を示したことになる。
この大借金は、ひょっとすると中国を身勝手な横暴から手を引かせるひとつの転機ともなり得る。
では、そのGDPの2倍とはいかなる金額か? 国際通貨基金(IMF)も危惧する借金は、実に約2,650兆円だという。IMFは切迫していると警戒感を表しているようだし、中国社会科学院理事長も「企業の債務に問題が生じれば、銀行にも波及する」と怖いことを述べているが、これは下手をすると金融恐慌に発展する可能性も示唆している。
わが国の債務額は、2015年末で1,238兆円であり、中国の半分以下でもあるが、早くから借金を減らすよう各界から指摘されながらも、日本のほとんどの政治家たちはこれを実行しようとはしてこなかった。中国の多額の負債が公になったからと言って気を許して、またまた懐の紐が緩むようでは困る。