1240.2010年10月5日(火) 小沢一郎・前民主党幹事長、強制起訴へ

 昨日の夕方からメディアの伝える情報が周囲で喧しくなった。小沢一郎・民主党前幹事長に対する東京第5検察審査会が小沢氏に対して政治資金規正法違反容疑で起訴すべきとの議決を公表した。これにより小沢氏は強制起訴される。

 小沢氏起訴は、数多くの、そして極めて難しい問題を提起している。すでに検察では2度に亘り証拠不十分として不起訴処分とした。一方検察審査会は2度に亘り起訴相当として、今回起訴議決、強制起訴となったものである。

 起訴か不起訴かの判断を委ねられている法律の専門家である検察が下した不起訴の判断が、素人の検察審査会の判断で覆された。今後裁判となった場合、検察の役割は裁判所が指名する弁護士が果たすことになる。指名された弁護士は、これまで検察が持っていた証拠をすべて引き取り、新たな証拠を見つけ出して小沢氏の違法性を立証し、有罪の根拠へ持っていかなければならない。検察業務を行う弁護士にとっては1からのスタートであり、長い茨の道が予想される。証拠を集めて立証するには相当な壁がある。専門家は決着には、1年から数年の時間がかかるだろうと考えている。取り敢えず公判は来年になるだろうと予測されている。

 この小沢氏の起訴は、政界にも多くの波紋を投げかけた。野党が鬼の首でも取ったように勢いづき小沢氏に議員辞職を迫るのは当然としても、小沢氏が半月前に民主党党首選で闘った大物であり時限爆弾を抱えているため、この先の思惑と動向も絡んで民主党内をも揺さぶっている。

 衝撃的なのは、われわれにも可能性のある裁判員が参加した検察審査会で下された「起訴議決」が、専門家の検察官が下した「不起訴」に優先する判定となったことである。これには法律で認められているとは言え、一部の法律家の間でも問題視する声がある。確かに客観的に見て、小沢氏の行為は法に触れているような感触があり、加えて小沢氏の政治資金団体「陸山会」のカネの出入りが不透明であることは誰の目にもはっきりしている。

 しかし、それにしても法の番人である検察が2度までも証拠不十分との判断を下したのである。結局黒白の決着を公開の場、つまり裁判で明らかにしてほしいというのが裁判員の強い希望だったのである。国民の気持としてもそうだったと言えるのかも知れない。今や素人の考えを無視出来なくなったのである。世間の見方は大きく変わっている。小沢氏はその辺の空気を見誤ったと言うべきかも知れない。

 難問山積の国会の場で、小沢氏起訴問題ばかりが取り上げられるなら、政治が機能しなくなる恐れがある。小沢氏はあくまで身の潔白を主張して、長い裁判に関わりながら一兵卒としてこのまま一身を国会活動に捧げるのだろうか。潔く民主党を離党するのか、或いは国会議員を辞職するのか、目が離せなくなってきた。本人はいずれもその気はないらしい。

2010年10月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com