1241.2010年10月6日(水) 日本人科学者2人にノーベル化学賞

 今日夕刻になって嬉しいニュースが入ってきた。ノーベル化学賞受賞者に日本から鈴木章・北海道大学名誉教授と、根岸英一・パデュー大学特別教授が選ばれた。一昨年4人の日本人が受賞したのに続く快挙である。これで日本人のノーベル賞受賞者は18人となった。

 さて、このところ本ブログに取り上げているテーマが、その後も大きなニュースとなっていくケースが多い。昨日厚労省のフィリピン戦没者遺骨収集事業に関して記者会見した細田律夫大臣は、今後の遺骨収集事業について不適切な点があるかどうか検証していくと述べた。フィリピンの遺骨収集作業で現地人の人骨を、不謹慎にも日本人兵の遺骨として「買い取り」、一部の悪質な現地人を潤すことがあり、現地でも遺骨収集作業そのものに反発する空気が生まれていることを取り上げたドキュメントが2日NHKで放映されたことを受けて、調査することになったようだ。当然のことであるが、以前と同じように厚労省が本来の主旨を充分理解して、厚労省主導できちんとやっていれば問題は起こらなかったはずである。問題になった以上しっかり検証して、厚労省が手抜きをせず事業を継続してほしいと願っている。

 もう一点最近の検察について、今日駒沢大学・清田義昭講師の講座で冤罪について重いビデオを見せてもらった。NHKが昨年放映した1時間30分の「裁判員へ 元死刑囚免田栄の旅」と題する力作である。免田さんは自分が冤罪で34年半もの間服役し、出所した時は57歳になっていた。

 現在84歳になった冤罪の被害者が、年金ももらえず生活も不安定な中で、冤罪で死刑を宣告された受刑者を支援するために国内外で活動している地道な行動を追っていた。

 さらに、裁判員制度導入により法律の素人である裁判員が裁判に立会い、判断を下すことについて、アドバイスと警告を行っていた。免田さんは、裁判員に対して自分が冤罪で容疑者とされる可能性があることもよく考えて判断してほしいとアドバイスしている。免田さんに敬服するのは、自分がはめられた個人的な不幸に対する復讐を考えるよりも、こういう冤罪をなくすための活動、現在冤罪に苦しんでいる受刑者を救うことに力を入れていることだ。

 免田さんの日本の裁判史上でも話題となった、甲山事件と袴田事件への支援取り組みに対する姿勢には頭が下がる。甲山事件では無罪になった心身障害児施設の元職員が検察控訴によって有罪の逆転判決を下されても、その都度控訴して「3度の無罪」判決を勝ち取った異例の裁判である。袴田事件は、最高裁で受刑者袴田巌の死刑が確定したが、3人の裁判官のひとりである熊本典道氏が無罪を信じて、裁判官を辞職して応援した。免田さんはこの裁判官からも悩みと苦しい心情を聞きだしている。

 いま小沢一郎強制起訴でプロの法律家と素人の裁判官の判断の違いが、論議を呼んでいる。ドキュメントを観ていて痛切に感じることだが、人の運命を分ける冤罪は絶対あってはならないことであり、「疑わしきは罰せず」の真意をもう一度しっかり肝に銘じるべきではないかと思った。

2010年10月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com