相も変わらず中国関連ニュースがひっきりなしである。拘束されていたフジタ社員が昨日解放され、今日帰国した。中国を刺激しては今後の仕事上不味いと考えて会社から釘を刺されているのか、逮捕の理由、ひとりだけ残されたわけ、そして中国当局に対する意見などについては禁じられた地域に足を踏み入れたと過失を認め、あまり刺激的なことは語ってくれない。多分政治的な理由が隠されているので、現状では多くは語れない状況に置かれているのだろう。
一方、ノーベル平和賞を受賞した収監中の劉暁波氏と妻の面会が実現したようだ。受賞の知らせは妻の口から直接伝えられたのではないか。劉氏はこの受賞を聞いて何を思っただろうか。本心を聞いてみたいものである。収監されている東北部の遼寧省錦州の刑務所周辺には外国メディアが押し寄せ、厳重警戒している公安当局ともめて取材も妨害されている。当局の過度の警戒の様子は尋常ではない。
ノーベル平和賞と劉暁波氏、それぞれについて中国人はあまり関心も知識もないようだ。無理もない。昨日中国国内からノーベル賞関係の情報が発せられるテレビや、日本を始め海外から伝えられるこのニュースに関しては、突然映像が黒画面に変わり放映不可となり、国民には伝えられていない。完全に国家による情報管理であり、不都合なことは国民に知らせようとしない中国政府の姿勢が世界中に宣伝されてしまった。ノーベル賞選考委員長がいくら中国は大国としての責任を負わなければならないと言ったところで、情報管理国家・中国には馬耳東風なのである。
もうひとつの嫌われ者国家・北朝鮮では、今日朝鮮労働党創立65周年を祝う大軍事パレードが首都ピョンヤンで行われた。3年ぶりに革命広場で行進する軍隊だけを見ていると、勇ましく国威発揚にはもってこいなのだろう。その陰には、大洪水とデノミの失敗で抜き差しならなくなった財政事情を隠し、大パレードの様子は朝鮮中央テレビを通じて国際社会へ伝えられた。これには、先日要職に就いたばかりの後継者・金正恩幹部を内外へアピールする狙いがあるようだ。
自然災害によって悲惨な状況に追いやられた地方の農民を抱えながら、巨大な経費を投じて核弾道ミサイルまでお披露目して大式典を行う金一族の腹の内が分らない。これらのミサイルは、すでに日本海を射程距離内に収めているという。物騒な国である。
偶々取材を認められたアメリカのCNN特派員が、北朝鮮取材班のカメラを茶化しながら、「このカメラは古いもので、未だにフィルムを使用しています」などと口走っていた。
金正日一族の権威を守ることだけを目標にして国家を支配している北朝鮮が、この先どういう動きをするのか不気味である。親分格の中国もなりふり構わない強権国家となったので、頗る気分は不愉快である。